小中一貫教育講演会-三条教育委員会

昨日、三条東公民館において「小中一貫教育講演会」が三条教育委員会主催で行われました。
講演内容は「小中一貫教育先進校の学校生活・学校施設について」
講師は建築家の柳澤要氏(千葉大学大学院 准教授)と三条市がモデル校としている品川区立伊藤学院校長の青木哲男氏です。
反対派から批判されている施設規模や学校生活について外部から肯定意見を発してもらおうという意図による講演会と思われますが、開催日時が平日の昼間と働いている一般市民が到底参加できない時間帯に設定されるなど、配慮不足もしくは意図的なものを感じざるを得ません。

私自身は息子の小学校進学について、三条市の受け入れを辞退致しましたので当事者というより建築家の立場で参加しております。

お二人のお話は大変興味深く、三条市の教育現場もこのようになったら素晴らしいなと思う内容でした。
柳澤先生のお話の中に、議論を尽くす事が大事であり、方向性が確定したらそれをどうやって仕掛けていくかが建築の役割であるというような発言がありました。
まったくその通りで、図面を描く、工事をするというのは建築に係る時間の中では本当に最後の部分です。
設計を請け負う時はコンサルティングの部分が圧倒的に時間をかけます。
どこぞの工務店が家族の話も聞かないでいきなり図面と見積を持ってくるレベルでは建築とは言い難い。

また、伊藤学園の小中一貫教育カリキュラムは現在の6・3制の義務教育指導要領を見直し、9年を一体として新たな品川版教育指導要領をつくることで確かな学力をはぐくむというのが基本となっているとの説明を受けましたが、これは夏樹がこれから通う附属長岡小学校の教育システムと合致するものでした。
これらは現行制度では実行できず、品川区では教育特区の選択を行い、伊藤学園は研究開発学校の指定の元、施設一体型小中一貫校を運営しています。
これも附属長岡小学校と同じです。
4年間の研究と実践の中で、教師の意識改革、子どもの変化、学校行事、生活指導、学習指導の一貫性・系統性がみられたとのこと。
大変素晴らしい学校だと思いました。

必要なのは義務教育9年間を一体化させた新しい教育指導要領です。
小学校の算数から中学では数学という学問に変わりますが、現状の制度ではそこを上手く結べない。ここに中1ギャップ問題の根源がある。
学びのデザイン」こそが小中一貫教育の求める系統的・継続的教育では重要なのだと認識しなければなりません。

今回の講演会のような教育とその環境を我が子に与えることができるのなら反対する理由など全くありません。
ぜひやって頂きたいところ。
ところが松永教育長は最後の挨拶で
「三条市は現行の教育指導要領を遵守し、生活指導を重視した三条の小中一貫を目指す。」
と申しました。

じゃぁ、先進事例を聞く必要ないじゃない。
生活指導って、要は中1ギャップなる登校拒否を減らすということでしょうかね?
そのために環境変化の少ない一体校化を行うということ?
三条の小中一貫教育って底が浅すぎる。
越後ジャーナルの社主がおっしゃっていましたが、まさに似非小中一貫教育と言わざるを得ない。

単に箱物を充てがっても、中身が現行のままなら今と変わりはなく、むしろ教える側でのギャップが鮮明になるのではないでしょうか?
特区として三条独自の教育を目指すという気概も無く、箱を作ってやったのだからあとは現場でなんとかしろ的な危険な香りがプンプン臭います。

三条の教育は上を目指している感じがしません。
ついていけない子供たちに手を差し伸べる事のほうにばかり目がいっている。
もちろんそれも大事なことですが、いつまでも「世界にひとつだけの花」的なぬるま湯に浸かっていても、いつかは親や先生が守ってやれない時が来ます。
手を差し伸べる事と同じくらい大切なのは生きる力をつけさせること。
伸ばすためのシステムづくりを親としては望みたい。
他市町村の学力には興味がない。
なんて井の中の蛙的な三条独自の小中一貫体制には正直、子供を委ねる気持ちにはなれません。

明日は中央公民館で反対派の会合。
JIA(日本建築家協会)の役員会とダブっていますが、出たいですねぇ。
こちらは何を問題にしているのでしょう?
その論点に興味があります。

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