15日の「小中一貫教育講演会」に続き、反対派の主催した「小中一体校の問題を考える市民集会」に参加してみました。
入場者数は500人を越えたという報道でしたが、30分程遅れて入ったら立見の人が多数、資料が無く、主催者側の方の分を頂いて話を聴かせて頂いた次第です。
ゲストスピーカーは和光大学現代人間学部教授の山本由美氏。
大学のHPによる紹介では「全国学力テスト、学校選択制、学校統廃合、小中一貫教育などの現代の新自由主義教育改革について批判的なスタンスで調査研究し、それらが子どもに与えるダメージについても研究対象にしたいと考え、東京都品川区の教育改革に対する批判的調査研究など緊急の課題としています。2007~2009年度まで、新自由主義教育改革における学校統廃合の研究(文科省科学研究費基盤研究C)を中心的に行い、特に最近急増した、小中一貫校を利用した学校統廃合のケースを調 査対象にしています。」とあります。
まさに小中一貫教育反対の第一人者。
先日の講演会では小中一貫教育の肯定的な見解だけ話され、昨日は真逆な材料の羅列。まるで接点はありません。
反対派の主張は以下の通り。
行政的には統廃合による施設経費の軽減を図りたいが、廃校になる地域の住民感情を考えると難しい。そこで文科省の教育課程特例制度による小中一貫教育の実施と言う事で一体校を建築する。そこには教育に対する抜本的な改革は無く、単なる合理化案にすぎない。
小中一貫教育による教育的効果の検証は何もなされておらず、三条市が手本とする品川区の不登校率はむしろ増加している。行政の中1ギャップ軽減の為という理由付けに説得力が無い。
三条高校跡地売却という県市間の利害結託、既存建物の耐震改修の必要性、まもなく期限を迎える合併債の利用などの経済的理由による処が大きい。
小学校区解体による街力低下の懸念。
1500人規模のマンモス校が小学生の発育・発達にふさわしい規模とは思えない。
経費削減の為の一体校化有りきで本来、新自由主義教育改革のテーマ教育カリキュラムに対しての見直しがまったく行われない。
...などなど。
確かに前回の教育委員会の講演会に出席し、抜本的な指導要領の見直しをしない小中一貫教育には疑問を感じましたし、反対派の主張に納得出来る部分も多い。
ただ、三条の教育問題から離脱してしまった外部的立場で言わせてもらうと、では現状の教育には何の問題も無いのかということ。
求める教育は家庭ごとに様々だと思いますが、私は現状の教育には不満です。
小中一貫教育に関しては私学では当たり前のようにやっており、それはそのまま高校大学へと繋がっています。
教育に理想を求めたり、より良い環境を求めれば当然のこと。
東京では頭の良い子は私立、その他の子は公立という暗黙の棲み分けが出来ているのも現実であり、その打開策としての教育特区、公立の一貫教育がスタートしたと理解します。
(確かに反対派の指摘の通り、少子化による統廃合を小中一貫教育というオブラート包んでいる行政の思惑は拭いきれませんが)
公立校故にイヤラシイ平等主義で9年一貫によるエリート教育を表に出せず、低い部分で足並みを揃えるとしたら、上を目指そうとする子どもたちには最低の環境でしょうね。
現状でも学校の教育レベルではとても受験に対応できず、塾通いが家庭の負担になっていると聞きます。
ある程度学習の前倒しで高校受験に備えてもらえたほうが有り難いと思える意見は出ないのかなぁ。
学校の自由選択制を取れないというのも痛いですね。
私は色々な観点からの教育があっても良いと思います。
何処に重きをおくかは個人の問題。それを行政に一律化されてしまう弊害が怖い。
ドイツでは小学校4年終了時で大学進学かマイスターの道を選ぶか、就職を選ぶかの選択を強いられている。
経済発展著しいインドにおいては13歳以降の授業の殆どが英語によって行われる。
もともと職人の地位が確立しているドイツならでは進学システムですが、最近はブルーカラーの地位が低下し、大学進学を断念した子供たちのモチベーションが下がったり、午前中で終了する小学校のため経済的余裕が無い共働き世帯では子供たちは午後をゲームで過ごしているとか、インドでは身分制度の壁を学力でしか打開できないというネガティブな面ももちろんあるが、エリート育成は各々の国力増強にとっては必須の要請であることには変わりがない。
それに比べて日本の教育事情は痛すぎます。
グローバル企業の雇用で日本の大学生新卒がまるでダメという報道ですが雇用者数は減ってはいない。ただ、日本の遊園地のような大学で遊び呆けた学生は要らない。使えるインド人や中国人のほうが戦力になるというだけの話です。
そんな中でわが子を委ねる三条市の小中一貫教育問題ですが、両者は恐らく永遠に接点を見出すことが出来そうにありませんね。
もう少し教育指導要領に言及した発展的な議論を望みます。
あと気になるのが、反対派企業の従業員がかなり動員されていたであろうということ。
交通整理の人だけでなく、講演を聴きながら携帯ゲームを楽しむ人達もどうみても小学生の父母では無さそう(そうならちょっとショック)。
子供の教育問題が単なる反国定市長運動にすりかえられなければ良いかと懸念します。
国定市長も反対派の意見に真摯に回答しなければならない。
彼も子供を持つ当事者です。
わが子の将来についてしっかり同じ目線で議論のテーブルに乗ってほしいですね。
現状の校舎存続のためには一体校以上に税負担が市民に振りかかりますが、その辺もしっかり議題にのせて下さい。
子供を持たない市民の問題でもあります。
500人以上の参加というけど、たったの500人でしかありません。
市の講演会も作為的なものですが、こちらも全ての父母や市民のコンセンサスをしっかりとりつける必要があるでしょう。