衣食住は人間の生活にとってはどうしても必要なもの。
特に住む所に関しては光熱費を含めて一生そこそこの大金を払い続けないといけない。
ここで良く問題にされるのが、実際の所、持ち家が徳なのか、借家が徳なのかということだろう。
多くの人は多分持ち家の方が徳と考え、人生の大半をそのローンの支払いに充てている。
それでも定年くらいに支払いきれば、あとはお金がかからないことを信じてだ。
去年の東日本大震災では多くの人が家を失った。
田舎は持ち家率も高くローンの残債を抱えた人が多数出てしまった。
地震による災害は地震保険が賄うが、残念ながら家を再建できるにはとど遠い保険金だし、大体入っていなかった人が大半であろう。
国の救済は大企業が最優先で個人は最後であることは今回の災害を見て明らかである。
さてこのような状況を考えると借家の人たちの生活再建は持ち家の人のそれよりは大いに楽であることは間違いない。
そんな天災に逢うことなんて一生に1度あるかないかだと言う人も居るだろうが、その一生に1度に供えるのが危機管理というものだ。
実際、我が家も築15年の間に7年前の夏には水害で1階水没、その秋には中越地震、その翌年は中越沖地震を体験、ほんの去年の夏もかさ上げ工事が完了した堤防を水が乗り越える豪雨に見舞われている。
福島第一原子力発電所の事故ではしっかり放射能の塵も我が家の上に降り注いだことだろう。
そう考えるといつ何が起きても不思議では無いのである。
例え何も無くても持ち家には固定資産税は掛かるし、何年かごとのメンテナンス費用も発生する。ほっておけば建て替えである。
ローンの支払いが完了したからもうお金が掛からないなんてことは希望的観測に過ぎない事を思い知るだろう。
ではやはり借家が徳かというとどうだろう?
借家は身軽だが、どうも落ち着かない。
何だか生活基盤が不安定だし、老後安定した収入が無くなった時の事を考えると問題が多い。
で、当事務所が提案しているのはセミセルフビルドだ。
全部を自分で作るなんて大変なことはしなくても、基本的な部分だけプロに任せて、あとはDIYで作っちゃう。
住宅ローンなんて組まないから生活の主導権は自分だ。
どんな素人でも一部屋作っちゃえば、ほぼ大工さんに近いくらいの技術は身につき、家のメンテナンスも楽なものだろう。
セミセルフビルドで重要なのは自分の生活設計をきちんと客観的に読むこと。
自分たちの生活の設計図は自分で描かなければいけない。
そのプランがあれば、あとの技術的な設計はこちらでフォローできる。
難しいと思う人は一度ウッドデッキでも日曜大工で作ってみたら良い。
それで大体の感覚は判ると思う。
一番ダメなパターンは自分たちの生活設計すら工務店に丸投げしちゃう人。
住宅を○LDKという尺度でしか考えず、簡単にローンを組んじゃう。
こういう人はフォローのしようが無い。
とりあえずは現在の収入状況を銀行の査定を受けてのローンだから問題ないのかもしれないが、家族を取り巻く環境は日々変化するのだ。
自分たちがどんなに変化しても銀行との契約は変化しない。
勝手に変更すれば家を抵当に取られ、それでも残債は残されるだろう。
人生に波風も無く、天災にも見舞われず、無事ローンを完済でき、退職金もたんまり貰い悠々自適な老後を想像していても、そもそも自分の生活設計を丸投げしちゃってるのだからそんなに上手くは廻りません。
そんな感じの人は「アパートの家賃程度」というローンの罠にすぐには乗らず、借家でしっかり生活設計をされた方が無難です。