セミセルフビルドという考え方

ダイレクトゲインで言えば、その際たるところはセルフビルドかもしれません。
25~30年ローンまで組んで支払えば元金と同じくらいの利息を払う事になります。
それなら借金しないで自分で作っちゃうというのは考え方としては面白い。
まさに自分の労働対価が直接自分に帰ってきます。
ただ、実際問題自分で作れるのかというと、それほど簡単ではありません。
きちんとした計画を立てるために建築家と協力するのはまず第一に必要でしょう。
基礎工事や建て方、屋根など、重機が必要だったり高所作業を素人が行うにはハードルが高すぎます。
そこで100%自分で行うのではなく、任せる部分はプロに任せ、自分でやれるところは自分でやるというセミセルフビルドの発想は現実的です。
家を一気に完成しなければいけないなんてことはありません。
まずは最低限住めるところまで行けば良いのです。
かつて私の作品で日経アーキテクチャーにも載せて頂いた「土間の家」はまさに過程の家でした。
限られた予算の中でいわゆる仕上げという部分をほぼ省き、構造そのものをデザインとして見せました。
床すら作れなかったので1階部分はほとんどが土間。
しかし、これが案外生活し易いんです。
考えてみたら私たちの生活のほとんどは靴を履いた生活であり、家でもスリッパを履いたりしている訳です。
ならば土間にサンダルでも然程違和感も無く、むしろいろんなところからそのまま庭に出れたりして楽しい空間です。
この家は住みながら、住み手が柱と間柱がむき出しになっている壁を棚として利用していったり、ボードを貼って壁を作ったりと進化し続けます。
床はいつだって組めますし、現在この家の1階は半分ちゃんと床になっています。
この家の場合はキッチンやお風呂を最初からつけましたが、これだって省く事も可能。
ビルトインガレージを作り、そこにキャンピングトレーラーを設置する。
すると主要な住宅設備はキャンピングトレーラーで完結できてしまいます。
キャンピングトレーラーは中古で200万もあれば結構立派なものが購入できるでしょう。
これを設備として家を作れば要はでっかいガレージみたいなものですから、かなりお安く出来きます。
しかも休日はそのままトレーラーを車で引っ張れば長期旅行も出来ちゃう。
これをチープなものにするか、かっこよくするかはデザイン次第。
とりあえず住むところはある訳ですから、後は住みながら日曜大工を続けていけば良い。
一部屋出来る頃にはきっと腕前もプロ級になっていることでしょう。
プロで稼ごうというわけではありませんから、工具もそんなに良いものを揃える必要もありません。
一気に銀行から大金を借りて、それを毎月とボーナスで返済するのではなく、毎月返済分の金額で材料を買ったら相当な材料は買えるはず。
ボーナス使う気になれば自分では出来ない部分をプロにも頼めるし、高価な設備や家具だって買えるかもしれません。
返済ではありませんから、景気、不景気に翻弄される事も無いでしょう。
生活の中にダイレクトゲインの発想を少し入れることで、まったく新しい家の造り方になるのです。
自分のできる事は自分で行い、出来ない部分は他で稼いだお金を使って委託する。
とてもシンプルな生活じゃないでしょうか?
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