昨日の夕方、ようやく我が家のコージェネレーションシステム「エコウィル」の試運転を行うことが出来た。
今まで使っていた灯油ボイラーのタンクを移設し、土台となるコンクリートを打設したのが先週の金曜日だから、なんと1週間に渡る大工事だった。
工事を遅らせた原因は既存の灯油ボイラーシステムも残したデュアルフューエルという複雑な配管にした為だ。
4年前の7.13水害の際、水に浸かったボイラーを新しいものにしたばかりだ。
いよいよNY先物で原油が140ドル台をつけたという状況の中、将来石油価格が下がると言うのは現状から期待できそうに無いが、もしかしたらという気持ちとまた自然災害が発生した際、もっとも復旧が遅れるであろうガスラインに対しての危機管理的な気持ちもあったが、実際のところ確立は非常に低く周りからは呆れられた。
今週の月曜日に到着したエコウィル機器、小さいのが発電装置であるエンジンで大きいのが貯湯、追い炊き装置だ。
これが到着した日に工事は完了するものと思っていたが、この日は仮置きだけで屋内配管および配線に明け暮れる。
エコウィルの暖房用経路は半密閉型だが、我が家のPS暖房機のパネルヒーターは密閉回路を採用しているため単純に接続できない。
そこでエコウィル側とパネルヒーター側の回路を別回路とし、床下で熱交換器をかませた。
既存の灯油ボイラーは密閉回路対応だったのでそのままボイラーのポンプを利用できたが、エコウィルを熱源とするには新たにポンプも必要となった。
エコウィルによるパネルヒーター全館暖房システムは初めてのため試行錯誤である。
今後、これが私が設計した住宅のエネルギー変換工事の際のスタンダードとなる。
また、これから建築する「自給自足の家」の検証にもなった。
分電盤の隣にエコウィルによる自家発電の為のブレーカーが新設された。
後付でも配線を隠し、またブレーカーも埋め込みという手間のかかるオーダーに工事の人は翻弄されるが、お陰で収まりが良い。
発電の際は電力からの電気よりもエコウィルが作る電気が優先される。
エコウィルの発電量は1時間あたり1kWである。
一般的に太陽光発電を行っている家の屋根には3kWのパネルを乗っけているが、固定的に消費される一般家庭の電力は1kWh程度だそうだ。
なので太陽電池の場合は余った分を売電するが、そんな面倒なやり取りをするより自己消費分を自家発電で賄い、足りなければ電力から買うほうがシンプルであると考える。
だからエコウィルの発電量は理にかなっている。太陽電池も1kW程度のパネルの設置なら安いのになんで売電などと面倒なことをするのだろう?
それでいて夜間は電気を購入しなければならない。
エコウィルの場合はお湯が必要なときは電気も必要なときということで売電・購電という煩わしさがない。
既存の暖房用と給湯用の灯油ボイラーをはさんで手前に発電するエンジン、反対に貯湯タンク、そんでその向うが移設した灯油タンクだ。
通常は隣り合って配置されるがそれが出来なかった。4つも設備機器が並んでとても一般住宅には思えない。
暖房用灯油ボイラーを架台で浮かせ、その下に回路を切り替えるバルブを設けた。
これで我が家の給湯・暖房システムは灯油でもガスでも対応したデュアルフューエルシステムとなった。
一旦抜いたパネルヒーターの水も注入し、ガスも開栓、試運転を行えたのは夕方だった。
複雑な配管に施す保温カバーも職人技である。
こちらが制御パネル。
ガスによる給湯が開始された。しかし、発電はX(バツ)となっている。
そう、我が家の発電装置はまだ起動していないのだ。
発電を始めるには電力会社の検査を受けないといけないとのこと。
なんと、その申請から検査まで1ヶ月近く掛かるらしい。
設備工事はようやく完了したが、コージェネが始まるのはまだ1ヶ月先とは...
それまでは馬鹿でかい単なる瞬間湯沸かし器である。
なんとも大変な事か。
ところで、東京電力が秋にいよいよ電気料を大幅値上げするとアナウンスした。
刈羽村の原発が起動していない現状で石油とガスに頼った2次エネルギーだから企業努力にも限界が来たということだろう。
それとエコキュートの普及により深夜電力のピークが重なり、夜間の発電量が足りないという始めから予測できるであろう事態に陥ったらしい。
捨てるだけだった夜間電力を安く売りさばくはずが、夜間の発電力が不足し、発電量を増やさなければならなくなったという情けない状況である。
夜間の発電量を増やせば、またしてもコストがあがり、電気料の値上げにつながる。
いかに効率が高いエコキュートも所詮、安い深夜電力に頼っているのが実情だ。
大幅割引の深夜電力料金も見直しは必須だろう。
前々からこのブログで警告してきた、戦略的な価格でいつどうなるかわからないというのが思いのほか早く現実のものとなってきた。
せっかく太陽電池乗っけて差し引き0エネルギーと嘯いていたのに、これでバランスが崩れないと良いが。
やはりエネルギーも基本は自給自足でなるべく賄い、足りない分だけ購入するのが正しいようだ。
我が家の固定消費電力をなんとか1kWhにすることが重要だ。
エコワットによる計測はまだまだ続く。
はじめまして。スギです。
我が家も現在、灯油で全館パネルヒータです。
灯油高騰でエコキュート、エコウィルを検討し始めています。
いろいろ探しているところここにもたどり着きました。
エコウィルにしたきっかけってなんですか?
また、初期導入費(どんなものを導入?)って教えていただけます?
すみません。いきなり初対面で・・・是非お願いします。
すぎ~さん 訪問ありがとうございます。
灯油価格も配達で135円前後とちょっと前のガソリン並みになってきましたよね。
もう灯油を燃やすというのは札を燃やして暖を取るに等しいくらいです。
私の家も当時リッター40円でランニングコストを計算して導入していますから、もう単純に3倍以上冬場の暖房費がかかっていることになります。
新興諸国の石油消費量の拡大やマネーゲームで今後安くなりそうな材料が余り無いということで、燃料の変更に踏み切りました。
温水パネルヒーターは熱源を交換するだけで燃料の変更が可能なので正解ですよね。
さて、では代替エネルギーはというと当面は残念ながら電気かガスということになります。
エコキュートVSエコウィルということでしょうか?
エコキュートですが、ヒートポンプの飛躍的な進歩により電気1に対して3~4倍の熱量を取り出すことが出来るようになりました。
しかし、夜間の蓄熱を行う為に熱ロスがあり、実質熱量あたりの費用はガスとあまり変わりません。
深夜電力という戦略的な発電原価を割ったような価格体系に支えられているというのも気になります。
使用時間を制限されていることで、その日に使うお湯の量を予測しなければいけないのも厄介です。
暖かい日なら作ったお湯は無駄になり、寒い日は足りなくなるので高い昼間の電力で追い炊きする必要があります。
一方エコウィルはというと今までお使い頂いている灯油ボイラーと同じく、必要なときに必要な分だけ燃焼しますから無駄はありません。
また、お湯を必要としているときは人が活動しているときでもありますから、その間1kWhの発電は家の固定的にかかる電気料を賄ってくれます。冬場、暖房と給湯で10時間ぐらい燃焼して発電してくれたら電気料はだいぶセーブ出来ますよね。
エコウィルとエコキュート
どちらも同じくらいの対熱量単価なら使うときだけ使い、ついでに電気も作ってくれるエコウィルかなと思います。
東京電力がこれから大幅な値上げをアナウンスしています。
他のエネルギーから作る2次エネルギーである電気と1次エネルギーのガスの差は拡大してくると思います。
さて、導入費用ですが、エコウィル自体の工事は70万円位が標準で20万円程度の補助が出ると思います。
問題は家にガス線が引き込まれているかどうかです。
私の家は当初ガスコンロを使っていましたので引き込みはありましたが、私が最近設計させてもらった家はIHヒーターの為、ガスの引き込みを行わず、給湯、暖房は石油ボイラーにしてあります。この場合、ガスの宅地内引き込み工事が新たにかかりますが、それは敷地条件で大きく変わってきます。
また、パネルヒーターですが、システムが密閉回路を利用しているか半密閉回路かで追加する回路が出てきます。
エコウィルの暖房用回路は半密閉式ですから半密閉式のパネルヒーターでしたらそのまま接続が可能ですが、私の家のパネルヒーターはPS暖房機のものでこちらは密閉回路です。よって、ブログにも書きましたが、回路を一緒に出来ず、熱交換器により熱交換させています。
まあ、この辺はエコキュートでも同様だと思います。
実際、私のクライアントにもこの冬の対策として提案するつもりですが、まずは自邸で実験です。
エコキュートもエコウィルも初期導入費が大きなハードルですが、さすがにそろそろ切り替えの時期かと考えます。
有難う御座います。
すごい参考になります。
エコキュートは、建築時の住宅屋さんや直接メーカに問合せしています。(メーカからはパネルへは出来ないと。。。床暖なら出来ますが。。。同じじゃないの?と思いましたが、全館となれば別なのか?)
住宅屋さんからは、いきなりエコキュート+蓄熱式ヒータでしたっけで提案されショックでした(パネル使いたいと伝えたのに)。
エコキュートでパネルヒータは出来ないんでしょうか?
エコウィルもそれから検討していますが、やはり個人として限界があり、調べ切れません。
ただこの原油高騰問題を考えれば。。。。月400リットル近い使用を考えると頭痛が・・・
今年は、冬眠でもしようかと考えなくては。。。
小林様のお宅は、ガスor灯油の両方での稼動が可能なんでしょうか?
家もまだ6年目でそんなに傷んでいるわけではないので、現状ボイラーを切り捨てる勇気も。。。あり他出費もいろいろあり考えたくてもなかなか厳しい現実となっています。
ないかアドバイス頂けるのであれば参考にしたいのですが。。。(↓でも十分頂いていますが)
すぎ~ さん
返信が遅くなりすぎました。(もう遅すぎた?)
ガスと灯油の両方での稼動は配管の切り替えで可能です。
我が家はバルブで切り替えるようにしております。
ただ、問題はしばらく使わなくなる灯油ボイラーの再起動が可能かどうかです。
最低でもシーズン初めに灯油ボイラーの試運転をしたほうが良さそうです。
それと灯油ボイラーや配管に凍結防止ヒーターが組み込まれていますので完全に電力を遮断できません。
冬季間、それらのためにせっかく自家発電した電力が食われてしまう可能性があります。
その辺は今年が始めての冬なのでこれから検証です。
先日の寒波の際、今年初めて暖房が入りました。
モニターを見たらしっかり発電していましたよ。
暖房が入ったのは早朝2時間程度でしたが、今年の冬への期待を膨らませてくれました。
ちなみにデュアルフューエルにする費用は+15万程度みておかないといけないのであんまりお勧めできません。
私のクライアントには一旦外して保存しておいて、また使うときに設置したら?と言っております。