お宅は小さいからいいんだよ...その通りでございます

昨日は所属している建築技術グループの新年会が行われました。
どの業界もそうでしょうが、今年の建築の見通しはかなり厳しいものがあり、皆 どうやって乗り切ろうかと悩んでいます。
私たちのグループではきちんとした温熱環境は住宅にとってオプションではなく当たり前の性能であるという意識から建築を考えていますが、それを実現する為には当然一般的なローコスト住宅に比べ価格が高くなってしまいます。
しかし、長期的に見た資産価値や家族の生活、健康、地球への環境を考えたら、その投資は決して高いものではなく、むしろ消費財のように作られる住宅の方が高くつくものなのです。
そういうことをきちんと施主に説明し、理解してもらいながら共に建築するというのが正しいと信じ、活動してきましたし、これからもそうしようと思っています。
だから私たちのクライアントになってくれる人は、それなりの共通する理念や見識をもたれている人ばかりなのです。
ところが昨今、そうしたクライアントは減り、まず金額ありきだというのです。
その辺の坪38万円からと宣伝しているメーカーと競合しても、最初から跳ねられると、メンバーのある社長は嘆きます。
自分たちの理念を話す機会すら与えられないのだそうです。
だから、今年は自分の会社も低価格路線に転向し、性能はオプションにすると言います。
ちょっとまって、それでは建築をやっている会社としての理念はどうなるの?
とメンバーから問われますが、仕事が無いほうが問題であると言われました。
でもそうして、レベルを一回落とすと、なかなか上げる事は難しいし、今までの客層を裏切る事になりませんか?
と私が言うと、君のところは小さいから理想を言っていられるんだよ。
社員を解雇して、私も家族だけでやる気なら出来るさ。
でもそうはいかないだろ。
まったくその通りです。
どこぞの大手メーカーのように簡単に社員を解雇することはするべきではありませんし、そうしてしまうとせっかく養った技術力も失う事になってしまうでしょう。
しかし、あえて反論すれば、社員を生かすために安かろうの家を作るというのは会社が内ばかり見て、外であるお客を見ていない事になりませんか?
そういうのが嫌だから、私は小さく事務所を構えていますし、仕事は外部スタッフと必要なときにチームを作ります。
自分と家族だけなら、家族には苦労をかけますが、建築として妥協する必要はありません。
私は事務所を開く際、仕事が無かったら、本業以外、夜間のパートでもして食いつなごうと決めました。
建築で自分を下げる事だけはしたくなかったのです。
わが社も今年はどういう年になるか判りませんが、この気持ちは持ち続けたいと思います。
本当に小さな事務所で良かったと思いましたよ。
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お宅は小さいからいいんだよ...その通りでございます への1件のフィードバック

  1. 美佐子 のコメント:

    誰のために仕事をしているのか?何のための仕事なのか?ただお金を儲けて、そこいらのことで消費して終わっていく人があまりに多すぎないか?大手の会社の派遣を切られた方はそれは気の毒だし、もうかるからと手を広げて事業を広げて人を雇い工場を増やした企業の味方などするつもりはありません。その企業にも誰のための何のための企業なのか・・ということが欠けているんですよね。海外で儲けたなら手を伸ばすのではなく、それまで買ってくれた消費者に使ってくれた人たちに還元すべきで、そもそも自分たちがさらに儲けようとすることが間違っています。でもそれに引っ張られてよらば大樹の影とばかりに派遣で住む場所ももらってもらったお金をすべて使って生きていた人に同情するのも変化と?世の中にはもっともっと貧乏な人は大勢いるけれど、そういう人はお金を得ても使い切るようなことはしないでしょう。何が大切なのか?誰のための仕事なのか?根本的な考えがおかしいからこんな世の中になるのでしょうね。私の暮らしのレベルでは、もしかしたら家はあればいい程度かもしれないけれど、でもなんとかホームみたいなでっかいばかりで内容がなさそうな家だけは避けたいと思っていましたから。安くていい大きければ・・という考えが主流なのでしょうね。事務所も同じでしょうか?安く作れば得をして大きい事務所になる?笑すぐに解雇しても損をしないように、最近の企業は人を育てていません。後輩を育てられる力をもった人が先輩にいない・・・若い人はかわいそうですね。設計士としての力だけでなく、未来を考えて生きる力を生徒さんたちに教えてあげてください。そういう師に会えたか会えないかで人生は大きく変わりますから。小さな事務所、応援しています!!!

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