フリーハンドを勧める7つの理由

建築士設計製図試験に特化した私塾「建築士フォーラム」ではフリーハンドによる作図を勧めることが多いです。
多くの資格学校では平行定規による作図を勧めているようですが、なぜ私がフリーハンドを勧めるのか、その理由を述べたいと想います。

①合否はまったく関係ない
一部の学校ではフリーハンドなんかで描くと合格できないとまで公言するところもあるようですが、そんなことはありません。
現実に当「建築士フォーラム」の高い合格率を担ってくれている受講者のほとんどがフリーハンドにより合格を勝ち得ています。
平行定規による作図法などをカリキュラムに入れてしまっているようなところでは、それを否定されると運営上困っちゃうんでしょうね。
しかしながら、現実にフリーハンドで提出することと合否とは一切関係ないことは私の私塾で証明しています。

②アナログ的思考のまま作図できる
平行定規による作図法を学んだことのある人は判ると思いますが、縦線を引くときは縦線を、横線を引くときは横線をまとめて一気に引くように指導されます。これはなるべく無駄な動きをしたくないからという理由によるものです。
定規を持ち替える手間がそれだけ作図時間にロスを生み出してしまうという裏づけでもあります。
この縦線、横線をまとめて描くという作図のやり方は一昔前まで活躍していたXYプロッタの作図方法です。PC上で全てのCADデータを解析し、縦線、横線に分解して描いた方が出力時間が短くて済むということですね。
しかしながら、それはあくまでもデジタル的な発想です。
人間がこの描き方をするとすれば、基本的な図面は頭の中に完璧に入っていないといけません。そうじゃないとエスキスを何回も見直したり、消しゴムを使わざるを得ない。
その点、フリーハンドはまったくアナログ的な製図法ですから、より人間の思考に近いと言えます。

③文字の下手さも味になる
定規による製図の場合、図面を幾ら上手に描いても、文字入れで台無しになるという体験は少なからずあるでしょう。それは文字が上手い下手もありますが、定規とフリーハンドの不調和が最大の原因です。
文字を機械的に書けない人は線をフリーハンドにして文字に合わせた方が全体的な図面としての まとまりは出るでしょう。
実際定規で描いてこれじゃぁと思う人も、フリーハンドにしたら味のある図面になったというのはよくある話です。

④慣れれば作図速度は早くなる
フリーハンドを初めて描いてもらうと、大抵の人は定規の時よりも時間がかかってしまいます。しかしそれは最初だから。受講者の手記を読んでいただければ判りますが、慣れてくれば定規よりも格段に早く描きあげることが出来るようになります。定規を持ち替える必要がない、アナログ的思考で描けるという前述の通り物理的にもそれは明らかです。

⑤ 慣れれば図面密度もあがる
どんどん描き込んでいくのがフリーハンド技法の極みです。まるで絵画のように線を重ねていくことで立体感が出て説得力のある図面に仕上がります。どんなにエスキスに時間をかけようが、最終的に提出するのは図面1枚。ハッキリ言って図面の出来が合格を左右するのです。「建築士フォーラム」では合格できる図面をもっとも優先的指導項目にあげています。

⑥紙と鉛筆があればOK
いちいち製図板と平行定規をセッティングしなくても描ける敷居の低さが時間のなさを理由にさせません。先日も書きましたが、図面は一式描き終えてはじめて描いたと言えるのです。エスキスも一式図面も方眼紙と鉛筆があればどこでも描ける。仕事をしながらの受験者がほとんどだと思いますが、試験対策の時間は自分で捻り出さないといけません。時間が無いを理由にするひとに合格はありません。

⑦プレゼンテーション能力がつきます。
今時実務でドラフターを使っている人は少ないと思います。仕事でCADを使っているのに試験の為だけに平行定規を練習するのはどう考えても非効率。フリーハンドを憶えれば打合せなど実務の場面で役立ちます。私の経験で言えばCADの図面よりもフリーハンドのほうがはるかに説得力があると思います。どうせやるなら実務の現場でも通用する技術を習得しましょう。

以上、そんな理由でフリーハンドをお勧めしていますが、それでも平行定規という方はお好きにどうぞ。

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