(小中に限らず)一貫教育に興味があるのは現状の教育制度に疑問があるからです。
そんな中で三条市が小中一貫教育を目指すという話を出したときには大いに期待をしました。
しかし、いろいろ調べたり話を聞くにつれ、どうも三条市の目指す小中一貫教育が私の欲する現状教育制度からの脱却では無さそうである事に気がつきました。
でも反対派のように否定的材料の羅列で絶対反対、現状維持というスタンスにもなれません。
あれから同じように子供の進学を控えた親達と話す機会がありましたが、多くの親達はこの事についてそれ程問題意識を持っているようではありませんでした。
「我が子だけではなく、みんな一緒なんだから」とか、「綺麗な校舎になって嬉しい」という意見が大半です。
私が現状の教育で大丈夫?と振っても「小学生のうちからそこまでやらなくても」と言われるのが関の山。
越境通学させる私がものすごく教育パパのように映るらしい。
たぶん、三条市における小中一貫教育問題はこのまま行政に押し切られた形で決着がつくのでしょうね。
仮に反対派が市長にリコールを叩きつけたとしても、国定市長を大きく上回る人望の対立候補を立てない限り、この教育問題だけを争点としても勝てないでしょう。(あくまでも私の感覚ね)
教育格差が社会的な問題になっていますが、それは国力としての問題です。
資源の無い日本にとって世界と勝負するには知力しかありません。
頭脳で外貨を稼がない限り、製造業輸出で中国、インド、韓国には勝ち目は無いでしょう。
国は子供たちの知力のボトムアップが最も重要な課題だと思います。
しかるに、この教育格差が既に2世代目位に来ている。
親世代がすでに教育格差の当事者であり、そこからの脱却はかなり厳しいと言えるでしょう。
高等教育を受けた親はわが子にもそれを望み、そうでない親は子供にもそれ程教育熱心では無い。それを「世界に一つだけの花」を口づさみながら「勉強なんて出来なくたって、あなたはあなた。」と納得する。
ゲーム機に関しても、そもそも親がやるから子供がやる。
子供はいきなりは始めません。必ず親の背中を見ているもの。
多少は罪悪感を持っている親へは教育ソフトを用意し、罪悪感の軽減を図るメーカーのしたたかさ。
そんなしたたかなシナリオを書くのは高等教育を受けたエリートで、罪悪感を払拭され、勉強もできるからとゲームを買い与えるのはそういう教育を受けていない側ということをどれくらいの人が気づいているのでしょう。
今、日本の教育現場で新たな問題となっているのは「吹きこぼれ」だそうです。
公立の小・中学校では少数のエリート達に税金を投じる事は世の中からの理解を得難い。得れるのは不登校問題などの「落ちこぼれ」対策。
しかしこれではいつまでたってもボトムアップは出来ない。
日本の大卒の就職率は68.8%と過去最低だが、それは企業の多くが日本の大学教育を信用していないからだと2月に行われた中央教育審議会でも委員から指摘が出ています。
初等・中等教育の未成熟さが高等教育にも尾を引き、授業について来れない低学力大学生が偏差値の低い大学では6割以上居るとか。
何のための入学試験なのか首を傾げるばかりですが、入れば終わりの日本の大学教育の欠点がいよいよ就職事情にリアルに反映してきたと言うことですね。
日本の大学に進学したのではダメ。
日本に見切りをつけたエリート達が目指すのは「世界のトップ200大学」。
日本の大学でこの中に含まれるのは僅か5校でしか無い。
こうした日本の頭脳の海外流出が「吹きこぼれ」現象。
日本国内の教育格差もこうしてどんどんグローバル化していき、日本に残っている子供たちは単なる労働力になってしまう?
「また極端な!」って言われるのだろうけど、子供たちが社会に出たときには現実的な話になりますよ。
「落ちこぼれ」対策だけではなく、「吹きこぼれ」ないように教育の質を高める議論をいい加減にやらないと世代が3回転しちゃったら、もう元に戻すのは無理。
わが子には日本丸を沈没から救う人材になって欲しいと願います。
そしてその為の環境づくりは親の義務であると考えますが、皆さんはいかが。