ハードル

昨日行われた「福祉用具・住宅改修広域支援事業 登録相談員研修」。
相談員としてのスキルをつける目的で行われました。
この事業の相談者はケアマネですが、相談を受ける側としては当然のことながらその相談を客観的に見ることが重要となります。
相談員には各専門家団体より推薦を受けた方々になって頂いておりますが、各々の専門分野については十分な知識を持っていても、異分野であるケアマネの知識の上を行くというのは難しい。
具体的に言うと、家族からトイレの改修の相談を受けたケアマネが建築的なサポートを求めてこの事業を利用したとします。
一見するとトイレの改修が可能かどうかの技術的な相談を受け付けるだけで良さそうな感じですが、大抵の場合、トイレそのものの改修も重要ですが、それよりももっと重要なのは利用者がそのトイレを利用できるのか、寝室もしくは日中いる居間とトイレの位置の関係やその動線上にあるリスクはどうなのか?移動の方法は?トイレに入った際、どういう動作で利用するのかそのシュミレーションはなされているか?といった具合にさまざまな角度からの検証が必要になってくるのです。
今年度までは相談をいったん事務局で受付け、相談内容や地域を考慮したうえで、登録されている相談員に業務をお願いしてきましたが、そのレスポンスの悪さから相談件数が伸び悩んでいます。
そこで来期からは相談員の名簿を公開し、直接相談を受け付ける体制にすべく動いているのですが、事務局のフィルターが機能しないので登録いただいている相談員全員が一定以上のコーディネート能力を持っている必要があります。
直接的な相談の陰に隠れたニーズをあぶり出す能力といっても良いのかもしれません。
具体的な検証にはきちんとしたデータ収集が重要です。
ですから、相談員には最低でも利用者動線の確認のための平面図の作成を義務付けしたいとお願いしたわけですが、そこまでやらなければ相談業務は出来ないのかという声があがってしまいました。
そこまで求められたら、とても自分たちの団体から推薦できる人を見つけることは不可能だということです。
確かに有資格者団体であってもそこに所属している人の意識もスキルもさまざまであり、それを団体がすべて把握することも難しいのかもしれません。
 
この相談事業をより多くのケアマネに利用してほしいと、相談受付のハードルを下げることにしたのですが、結果として登録相談員のハードルが上がったと受け取られてしまった。
思いのほか、軽い気持ちで相談員の登録をしていた人が多かったということですか。
自分としてはこれくらいの検証は当たり前の事でしたが、そうした検証もなされず行われる福祉住環境整備が多いんですね。
そういう意味できちんとニーズの読み取りの出来る相談者を組織したいと考えたのですが、まだまだ難航しそうです。
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