今回問題になった住宅改修ですが、本日、施工を行った業者さんも立会いの中、検証を行いました。
いったんスロープを設置した後、廊下の床上げを行うことになり、結果としてその段差の調整の為スロープの勾配が途中で変わってしまうという施工がどういうことを意味するのか。
いわゆる「規則の不整合」問題。
今日はディサービスへ行く日ということで、車椅子でのスロープ走行もいつものようにやってもらいました。
スロープを降りる場合、後ろ向きで大きな車輪側から降りるのが原則。
その場合、大きな車輪で勾配の違いも吸収できるようであまり違和感は感じません。
また、上りの場合も今回新たに付け足したスロープの勾配も緩いので小さな前輪を跳ねることなく登ることは出来ました。
ところが利用者が利用する歩行車で前向きで降りようとすると勾配の換わるところでちょっと違和感を感じ、なんだか跳ね上がるような感じになってしまう。
また中途半端に緩い段差に踵をついた際に転倒のリスクを感じてしまいます。
業者さんは車椅子の様子を見て、新しいスロープ部分に滑り止め処理をしたらどうだと提案しますが、それは根本的な解決にはなりません。
この場合は例え勾配が1/12よりもきつくなったとしても、同じ勾配にしたほうが安全と考えます。
「手直しにかかる手間賃はどうするんですか」と私に耳打ちする業者さん。
そう聞くからには手間賃を要求ということですよね。
まさかお客さんに請求できるわけありません。
あの場で責任問題を議論する気にもならなかったし、私自身、業者さんにそれ(規則の整合)位常識だよねという甘えがあった。
お金がかかるとかの話の前に、少しでもリスクを感じたのならきちんと対処するのがプロフェッショナルです。
それを見逃すのは厳しいようですが、むしろ犯罪に近いと考えなければならない。
簡単な対処を提案する業者さんに、費用はうちの事務所で負担するからスロープを作り直してくださいと大見得を切りました。
規則の整合や移動形態による整備方針の違いについては、講義をさせていただく際には必ず話をしています。
たとえ受講者からはまた同じ話と言われても。
だって、冗談みたいに今回のような失敗が繰り返されるんだもの。
自分たちが行った工事で、もしそれが起因して転倒でもされたらという危機感が無さ過ぎます。
また、施工にあたる人に認識いただきたいのは作ったからお金を請求するのではなく、使えたからお金を請求するという構えで仕事をして欲しいということ。
だからこそ重要なのが住環境整備における基本的なポイントの理解なのです。
今回の工事はまったく初めて住宅改修を担当した業者さんではなく、福祉住環境系ボランティアに最初から参加してくれている言わばベテラン。
このところちょっと緩んでいますね。
福祉住環境整備にあたるのなら、その道のトップランナーであるという気構えが無いといけません。
単なるお勉強会に満足するのではなく、今回の事例からしっかり学んで欲しいと思います。
この世界「使えて何ぼ」なんです。