河川改修-これでよいのか

2004年三条を襲った7.13水害はひどかった。
市内の南半分を水没させた・
私の自宅のすぐ近くの堤防が決壊したために私の家も1階は床上浸水の被害があった。
私のクライアントの家は床上1.8mまで上がったと言うのだから尋常じゃない。
当然激甚指定され国による復興事業の対象となった。
日本の河川はどこもそうだが、長さが無い割りに高低差があるため、すぐ激流になる。
激流は平野部で暴れ周り、肥沃な土地を作り出した。
新潟平野はその恩恵を得て有数の米の産地になっている。
自然の行いはそれなりに意味のあるものだが、人間が管理を始めたとたんに敵対関係のようになってしまった。
治水の名の下に河川は護岸工事が施され、どぶ川になった。
川は曲がりくねって水が岩や石にぶつかることで酸素を取り込むのだが、護岸工事を施された川では酸素不足になってしまう。また、雨水も地下浸透し、土のフィルターを通してろ過されるものだが、舗装された地盤から側溝、川という単純な経路になり自然のフィルターを利用できていない。
護岸された川というのは酸素の足りない死水、ろ過されずに流れ込む汚水といった最悪の状態のまま海に流出するのだ。
これが日本の治水行政である。
ただ、治水行政はお金が動くので一部の利権者が手放そうとしないのが実際である。
治水でお金をもうけても、近い将来、環境問題で莫大なお金が必要になるであろうことは簡単に予想がつくが、それを支払うのはこれからの人たちで自分たちではないという考えがみえみえである。まあ気前よく国債を発行し続ける首相の下では抑止力など期待できようもない。
 
先日回覧板が廻ってきた。
河川改修が順調ですと誇らしげに報告がなされていた。
写真を見てがっかりである。
改修を行うに当たり住民にアンケートがなされたが、「目の前の悲劇だけで護岸工事をすることなく、自然環境も十分配慮したものにして欲しい」と書いた。
写真を見る限りでは私の主張は無視されているようだ。
多くの住民がこれを望んでいたのかと思うと郷土愛も失せるが、アンケートの結果も発表されていないようなのでグレーである。
数年前にドイツを訪問した時に、ある都市の行政担当者から河川改修の説明を受けたことがある。
今ヨーロッパで行われている河川改修は護岸化された河川を自然に戻すというものだった。
ただ戻すのではなく、バイパスとかも作って水害への対応も考えられてる。
日本も散々護岸化してしまった河川に自然をとりもどす改修を行い、それを公共事業とすれば良いと思うのだが、これで三条の河川は数十年遅れてしまった。
いままで鮭が登ってきた五十嵐川にふたたび戻ってきてくれるのか?
すくなくとも子供たちは危険なので川に近づくことは許されないのだろう。
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