洗濯

設計の段階で想定するもののひとつに洗濯がある。
 
我が家では子供が小さいと保育園から持ち帰る汚れ物が多いので毎日洗濯をしている。
午前中にプールに行くので帰ってきてすぐ洗濯機を回す。
最近は乾燥機も普及したのでスイッチひとつであとは取り込むだけの家も多いのだろうか?
建物は全室暖房で浴室がもっとも換気量が多いので冬場は何もしなくても乾燥室のようである。
また、今からの時期は脱衣室の北側の窓を開け、浴室の戸を開放すると浴室の西側の窓に風が通る。また西側の窓は昼からばっちり日が当たるので昼に洗濯をし、そのまま浴室に造り付けた物干しバーに洗濯物を引っ掛けると夕方には乾燥していて、風呂の前に取り込むのが日課だ。
 
ところで洗濯というと、庭に天日干しというのが日本人の頭に刷り込まれている。
いかにも爽やかそうで洗剤の広告などは良い例だ。
でも、狭い住宅地の道路に面した場所に洗濯物を干しているというのは爽やかな印象とは程遠い。
考えてみると外に洗濯物を干すという習慣を持つ国はあまり多くない。
ちょっとイメージしても発展途上の貧しい街の風景しか思い出せない。
洗濯物を外に干していたら欧米では反対に苦情が出るだろう。
我が家のウッドデッキもルーバーのおかげで見なくても済むようになったが、今ぐらいの季節はデッキから見える洗濯物だらけだ。見てよいのか困る。
 
冷静に考えても外に干すメリットよりデメリットの方が多い。
春などは濡れている洗濯物に花粉や黄砂が付いてしまう。
街中では自動車の排気ガスの粉塵が付いてしまう。
直射日光で色物は退色してしまう。
紫外線で繊維が壊れてしまう、などがデメリット。
他にも共働きだと不意の雨で取り込むことが出来ない。
若い女性の一人暮らしだと危険であるなんてのもある。
 
メリットはなんといっても日光による殺菌作用だろう。
しかし、洗濯の過程でそういうものは洗い流しているので、殺菌が有効なのは布団など大物だ。
布団もこまめに裏返さないと、単にダニが表から裏に移動するだけという話もある。
 
まあ、かつての香港の九龍城じゃないんだから、住環境を考えたら日本人もそろそろ外干しを考え直す時期かもしれない。
換気計画や暖房計画をきちんと行えば、家の中に洗濯干しをする空間は簡単につくれる。
一番良いのは風通しの良い風呂場にステンレスのパイプを2列架けておくこと。
風呂は利用する時間が大体決まっているから、それ以外は洗濯物の乾燥室になる。
それに風呂場の壁は耐水性で湿気に強い。
エネルギーに頼る乾燥機も良いけど、設計で乾燥室はどうにでもなる。
 
新築またはリフォームの際に洗濯することを建築として一考することをお勧めする。
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