漢字力

昨日の設計製図の開放教室はなじみの生徒ばかりだったのでミニ講義をおこなってみた。
私たちが学校で習う「常用漢字 」だけでは物事を正しく理解できない。
設計者が誤った漢字の解釈をしていると正しい設計は出来ない。
だから漢字力をしっかりつけなさいという内容だ。
 
私たちが通常使用している「窓」と言う漢字だが、これは英語で「window」つまり「風(wind)」から起因するものだ。
もともと欧米の建築には壁式構造が多い為、風を通すためには壁に穴を開けなければならなかった。
そこで開けた穴から風が入ってくると言うことでウインドウ、つまり窓が出来上がった。
構造的に見たら窓は欠損でしかない。
一方、軸組み構造を基本とする日本では軸つまり柱と柱の間に戸を立てることで容易に構造的負担をかけず開口部を持つことが出来る。
柱と柱の間に立てる戸ということで「間戸(まど)」となる。
アールヌーボー時代のヨーロッパの建築家は極東の神秘の国ジャポンのこの自由な開口に大いに感化を受けることになる。
当時不可能だった横長の開口をこぞって取り入れることになるのだ。
この自由な空間構成がコルビジェのドミノ式になっていくわけだ。
アメリカにおいてもフランクロイドライトに「間戸」の影響が多く見られる。
ところがこのすばらしい文化に誇りをもてない日本人は欧米崇高主義に走り、自らの文化である「間戸」を棄て、「窓」一辺倒になってしまった。
最近の住宅の閉鎖的なデザインはとても残念だ。
 
まあ、こんな話をしていたら皆さん結構興味を持ってくれたようだ。
お受験のテクニックばかりではなく、たまにはこういう話も良いかも知れない。
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