旅をする理由

私が建築をみてまわるようになったのは独立した30歳を過ぎたあたりからだ。
グァムやハワイとかはもちろん20代で行ってはいたが、あれは単なるアミューズメントパークに行ったに過ぎない。
とても旅とは言いがたい。
私を海外に連れて行ったのは建築評論家の南雄三氏だが、とにかく放任で、現地では勝手にやれというものだった。
氏は大学を出てから何年も世界放浪の旅をしてきた人だから、現地で何かをつかむには自分からアクションを起こさないといけないという考えだ。
ツアコンに連れまわされて、お土産屋に立ち寄る類の旅行とは真逆の旅行だ。
それでも始めの頃は私も若手のほうだったので金魚のフンよろしく南さんの後をついて回った。
最近はさすがにオヤジの部類なのでそういうのは若手に譲らなければならない。
でもオヤジ軍団は行き場所もわからず、うろうろしているだけだ。
そうしたオヤジ軍団から離れるには家族を引き連れるに限る。
家族はまたひとつの単位としてその群れから離れ、また私は家長として毅然とかつての南さんのように妻と息子を連れまわさなければならない。
さすがに私もそれなりに体験したのでまあ、大抵のところには行けるようになった。
今年は妻の妹も行きたいというので、完全に我が家だけの単独旅行に踏み切った。
海外を旅し始めて15年、ようやく完全個人旅行(いままでは放任企画旅行:どちらも現地に連れて行ってくれるだけであとは勝手によろしくなのであまり変わりは無いが)だ。
世界に飛び出すのは早いに限る。
我が家の夏樹は2歳で海外デビューである。
出来る限り毎年連れまわそうと思う。
贅沢という人が多いが、一緒に来ればわかるがかなり激貧旅行だ。
私は現在46歳、あと20年くらいは旅できるだろうか?
年1回しかいかないと、たったの20回だ。
さすがに60際を越えた旅行は今のようにはいかないだろう。
するとあと15回?
たった15回だ。
夏樹を連れまわせるのはあと15回しかない。
人生の後半に出来た子供は一緒に居られる(遊べる)時間が短いのだ。
夏樹が成人する頃には私の体力はどうなっているかわからない。
そう考えると、年一回くらいは連れまわさないといけない。
いつか行こうと思っていると、結局今度は自分の身体がいけない状況を作るだろう。
だから毎年、最低1回は日本を飛び出すのだ。
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