共鳴

昨日の雨とは一転して、今朝は澄んだ青空が広がっている。
今年は太平洋岸に雨が集中しているらしく、日本海側はかつて経験したことが無いような快晴だ。
まさかこれで梅雨は終わりってことはないだろうが、天気予報では明日も良い天気である。
庭や空中菜園の植物は昨日の雨で潤い、元気になった。
やはり降るときには降らないといけない。
 
先週届いた雨水タンク用のプラスチックのドラム缶だが、今日、教え子の阿部君がドリルとホルソーを持ってきてくれると言うので、蛇口を付けたり、オーバーフローのための穴をあける作業をしたいと思う。
昨日、雨樋から流れ落ちる雨を見ながら、これがタンクに溜まる様子を想像した。
なんだか天の恵みが落ちてきているようでうれしかった。
コストバランスはいまいちだが、そういう気持ちになれる幸せっていうのも得がたいものだ。
 
先週、建材商社をやっているS君が事務所を訪ねてきた。
彼とは20年来の付き合いだが、バブル世代の営業マンでその精神構造のまま現在の会社を構えた。
商社という性格上、多売が正義なのだが、ちょっと違和感を感じる。
社員を抱え、ひと月700万程度の粗利がないと会社を維持できないような状況らしいから売り上げアップに必死だ。
私のような一人事務所とは真逆だが、一般的にはこちらが普通なのだろう。
ところでそんな彼が住宅建築会社を新たに作ったと言う。
「オーガニック」とか「ロハス」とかエコロジカルなネーミングの会社だ。
いかにも聞こえが良い。
ようやく彼も生活環境分野に目覚めたかと思い、「自給自足の家」の話をしてみた。
「空中庭園」にも上げて見せたが、彼の感想は「小林さんも園芸が似合う歳になりましたね。」だそうだ。
彼の目には小市民の単なる家庭菜園にしか映らなかったらしい。
君の言うオーガニックって何なんだ?と問うと「だって流行じゃないですか」という答えが返ってきた。
彼にとって「オーガニック」も「ロハス」も集客力のあるネーミングというだけだった。
彼の構想はそういうエコロジーな名前のボランタリィーチェーンを作り、安定した販路の拡大を図りたいということだけだ。
集客の為の携帯サイトも立ち上げ、いろいろな餌をばら撒いて一般顧客も囲い込む作戦だと言う。
企画力の無い工務店を囲い込み、一般顧客をあの手この手で引き込む。
まあ、彼だけではない、フランチャイズのほとんどがその手法だし、ハウスメーカーや大手工務店も似たような戦略に出ている。
売り上げ至上主義に陥らざるをえない会社形態なのだから、それを否定するわけには行かないだろう。
問題は、その経営者のポリシーだ。
きちんとした思想があっての収益拡大なら良いが、たいした思想も無く付け焼刃で行うだけではすぐボロが出るだろう。
コストアップ、市場縮小を向かえ、建築業界も淘汰の時代を迎えている。
一番辛いのは肥大化したメーカーのはずなのだが、彼らのエコに対する取り組みはすばらしく、地元の工務店を凌駕している。
一方で地元の工務店を育成する使命があるであろう地域の商社が売ることだけ、自分の販路拡大をどうするかだけを模索している。
がんばれば一番しぶといのが地元の工務店のはずなのだが、がんばっているところは残念ながら少ない。
20年の間に私とS君の関係にも温度差が随分出来たようだ。
若いころは共鳴しあえたが、やがてそれは不協和音を奏でるようになってきてしまった。
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