冬の準備

まだまだ残暑厳しいが、お盆前からクライアントに対し暖房用のエネルギー変換の提案をしている。
設計当時一番安かった灯油も現在はガソリン並みの価格になっている。
世界的に下降に入った経済を反映して原油先物価格は下がっているが、先が見えない。
2次エネルギーである電気は1次エネルギーに翻弄されてしまうのでなるべく購電は控えたい。
灯油と天然ガスの損益分岐点は70円程度だから、この先灯油が70円/リッター以下にならないようならボイラーの熱源をガスに換えたほうが安くなる。
また、エコウィルによる自家発電と組み合わせることで、冬場の電気をかなりの割合で自給自足できるだろう。
ということで次世代エネルギーまでのつなぎとしてガスコージェネシステムを提案している訳だ。
灯油が設計当初の3倍近くなっていることで、このレートが続くと4年で元が取れる試算も出る。
夫婦二人世帯はもともとエネルギー消費が少ないのでイニシャルとランニグコストのバランスが微妙だが、大家族でお湯も電気も大量に使う家ほど効果的である。
とはいえ設置費用が100万近くかかってしまい、いかに4年で元が取れるとはいえそうそう簡単に決断できない。
すでに提案を受け入れてくれているクライアントも多いが、慎重な家ではさまざまな対策を個々で考えているようだ。
とにかくこのまま100円を超えた灯油代となるとパネルヒーターによる全館暖房を諦める人たちが出てくる。
昔に戻り、一部屋に家族が寄り添い、ファンヒーターで暖を取る、いわゆる採暖だ。
また、性能の進んだエアコンによる暖房にする人もあるだろう。こちらも全館は無理で採暖となる。
薪ストーブを考えている人も居るようだ。
こちらは吸気口が必要となるため、気密化という住宅性能も捨てる覚悟となる。
欧州の規格で作られたストーブは燃焼庫の気密性が良いので排ガスが室内に入ることは無いが、中国製のは燃焼効率は悪いし、気密性も無いので不完全燃焼による一酸化炭素中毒の危険もある。きちんとした業者に施工を依頼する金額があったらコージェネだって付けられるだろうから、審美性とか暖房性能以外に特に嗜好が無い限りはお勧めしない。また、薪がただ同然で入手できる人以外はそれほど安い燃料でも無いだろう。
とにかく灯油が一番安かった時代は終わり、エネルギーの選択肢が増えた。
冬に向けての準備は今から始めないと間に合わない。
いろいろ考えていただき、その上で当事務所の提案を受け入れていただけることを切に希望する。
カテゴリー: 建築 パーマリンク

コメントを残す