熱移動の3要素

熱は高いほうから低いほうに移動するが、その形態は「伝導」「輻射」「対流」に分類される。
家の断熱には熱伝導率の低い断熱材を用いるが、それは屋内の熱エネルギーを外部に放出させない、また夏の屋外の熱を屋内に入れないために行う。
しかし、いかなる断熱材を用いても熱の伝わる時間が遅れるだけで、熱自体を完全に遮断することは出来ない。
そこでより高性能な断熱材の開発を行うことになる。
断熱材でもっとも重要なのは空気だ。
実はさまざまな素材の断熱材もいかに空気の層を多くつくることで断熱性能を上げるかが要になっているのだ。
断熱素材として最も有効なのが空気なのである。
それよりも優れているのは真空だ。
洞爺湖サミットでは真空断熱材がプレスセンターで採用されその実力をしめしたが、あまりに高価すぎて一般住宅への採用はまだ当分先であろう。
「輻射」はパネルヒーターなどの暖房に用いられる。
また、夏の屋根は太陽の輻射により熱せられ、屋根下へ熱が「伝導」することで屋内を暖めてしまう。
それを防ぐには「伝導」を抑えるために断熱材を厚くするか、太陽の輻射そのものを反射しカットする方法が有効と成る。
「対流」はいわゆる空気を直接暖めることで熱の移動を行う。
ファンヒーターなどを使った部屋で上部はもやっとするが座っているとスースーするといった状態が対流であり、もっともレベルの低い暖房方式といえよう。
 
さて、昨日は教え子の工務店と彼が連れてきた断熱メーカーとで半日断熱談義をした。
高気密・高断熱の技術は主に「伝導」による熱移動をいかに防ぐかを主眼としてやってきた。
昨日連れてきた断熱素材のメーカーが売っているのは「伝導」ではなく「輻射」による断熱を提唱している。
彼の持ってきたデータによると、熱の移動の75%は輻射によるもので、輻射が20%、伝導に至ってはわずか5%しかないと言う。
ということは高気密・高断熱では25%の熱移動しか効果を発揮しないということになる。
まさに青天の霹靂である。
それが本当なら75%の熱移動を対処しないと良い住宅は作れないだろう。
しかし、その断熱材がべらぼうに高い。
ウレタン断熱材の1.5倍もするのだ。
しかも熱移動に関しては認めたとしても、湿気の移動に関してはまったく無頓着で言われるまま使ったら壁体内結露の危険もあった。
その指摘をしたら、宿題で持ち帰ると言っていたが、回答をもらえたらうれしい。(大抵の業者はそれっきりになるのだが)
まあ、面白い問題提議だった。
現在進行中の物件にも輻射断熱は考えてみたい。
でもその素材を使わなくてもアルミホイルもインゴットを薄く延ばしたものだから十分代用できて安そうですけどね。
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