近くにあった秘境 八十里越え

三条市下田地区と会津を結ぶ不通の国道289号線 通称「八十里越」。

実際は八里(3.2km)程度の山道だが、余りの険しさに十倍の八十里に感じたことから八十里越えと呼ばれていた。
そのその歴史は1180年から始まるが、やがて交通の主流は鉄道に移り、幾多の災害によりその道は断たれたままになっている。

現在は1986年から事業化され14のトンネルと18の橋梁を建設中だが、完成までにはまだ10年近くかかると言われている。

とまぁ、これが概要ですが、大谷ダムの先で道はゲートに閉ざされ、工事関係者以外は立ち入りが禁止されています。
同じ市内のことですから一度は見てみたいと思っていましたが、ちょうど日帰り温泉施設「いい湯らてい」で八十里越紅葉ツアーの企画がありましたのでダメもとで申し込んだら当たってしまった。

平日週初めではありましたが、お休みを頂いて行って来ました。

朝9時20分、いい湯らてい 駐車場に集合し、マイクロバス2台で30分に出発です。

さすがに参加者はリタイアされた方ばかりですねぇ。

現役世代は我々だけでした。

それにしても今年は何をやっても天候に恵まれています。昨日は雨だったのにこの日はご覧のとおり快晴、でも次の日は大荒れの天気と言う具合にうまく雨雲から逃れているよう。

いい湯らていから大谷ダムを通り、いつもはここでUターンしている工事用ゲートに到着。

ここで国土交通省職員からヘルメットを渡されます。

工事区間のため車の中でもヘルメット着用が義務付けられているのですが、わざわざヘルメットを被ることで、一層 秘境へ向かうという気持ちが高まりますね。

先導車の後をゆっくりと進みますが、道路はかなり切り立った渓谷を走り、すれ違いもままならない細さです。

植林された杉が多かった山の風景も一変し、人の手の入らない雑木だらけ。

我が家から30km程度しか離れていないとは思えない山深さですね。

日本の山の原風景がまだここには残っているのでは無いでしょうか?

先日福島県とつながったばかりの県境となる全長3,173mの9号トンネルに到着。

ここで職員から八十里越工事の概略の説明を受けます。

とにかく1年の半分は工事が出来ない豪雪地、まさに自然との闘いですね。

このところ水害やら大雪で被害も相当受けているらしいし、民主党政権下の公共工事費削減で大幅に工事期間が伸びてしまっているとのこと。このままだと工事完工まであと10年は掛かるということですから、下手したらこの工事だけで生涯を終える人も居るのかもしれませんね。土木は建築と違って長期ですから、うまくしたら一生食いっ逸れが無い。道路工事でこれですから、いわんや原発ときたら...なんて邪まな勘ぐりをしてしまった。

9号トンネルの福島県側出口です。

出口は仮設の橋が架かっているだけなので、我々のバスはここまで。

あとは歩いてトンネルを出ました。

3%勾配で3kmですから、入り口より単純に100mほど高い場所に上がったことになります。

心なしか風も冷たい。

仮設橋から上流を眺めます。

紅葉は始まったばかりですが、きれいですね。
本当に山深い。
紅葉ももちろん感動しましたが、この自然の懐の深さに感動しました。

叶津川上流はエメラルドグリーン。

これは流紋岩が粘土化して水に溶け込んでいるからだそうです。

なんとも神秘的な川の流れです。

この道路が完成したら良い観光道路になるのでしょうが、その分、この自然環境もどんどん悪化していくのでしょう。
また、造ったところで年間の道路維持費が膨大に掛かりそう。
工事関係者や地元観光業者にはドル箱的な存在なのでしょうが、本当は作ってはいけなかったのではないのかな?
車ではなく、人間は足で 歩かせて貰う位がちょうど良い?

とてもすばらしい体験をさせてもらいましたが、反面、そんな気持ちも抱いてしまうのでした。

カテゴリー: つぶやき, 新・森の生活 パーマリンク

コメントを残す