電気のリストラ 脱炊飯器

東京の友人は福島第一原発の事故以来、朝はガスコンロと土鍋で米を炊いているという。
強火で炊き上げるご飯は電気炊飯器のそれとは比べられないほど美味しいそうだ。

事故処理を消費者に転嫁する現在の電気料金体系に対抗するもっとも良い方法は電気を買わないことだが、ここまで電化した世の中でそれはなかなか難しい。
そこでせめて電気使用量を少なくしてやろうといろいろ模索している。

毎日、朝と晩の2回を電気炊飯器のお世話になっているが、建築家としていつもこの炊飯器のビジュアル的な部分が気になってしょうがない。
台所の風景としてどうしても異物感があるのだ。
かつてはシステムキッチンの中に炊飯器を組み込むキャビネットを販売していたメーカーもあったが、炊飯器から出る水蒸気の処理の問題があって市場から姿を消した。
だから現代もどんなに洗練されたキッチンを設計しても、米を主食とする限り、あの炊飯器がデンと鎮座しているのである。

さて、我が家の炊飯器だが、かれこれ10年以上は使っていると思う。
先日炊き込みご飯を作ったら上手くいかなくて、いよいよ壊れたかと思ったが、普通のご飯を炊いたらきちんと炊けたのできっと水加減が悪かったのだろう。
我が家の炊飯器の消費電力は650Wである。
大体40分ほどかけて炊飯するので、概ね1回あたりの電気料は9円程度となる。
1日2回で18円。
1年使用しても6,000円ちょっとの計算だ。
実際には 保温もしているので1万円位は年間使っているのかもしれない。

この炊飯器を友人のようにガスコンロと土鍋でやってみたいが、残念ながら水害の際に我が家のコンロはガスからIHに変更してしまった。
あえてカセットコンロを使うという手もあるが、恐らくカセットコンロではコストが電気よりも高くなってしまうであろう。
そこでネットで調べてみたところ、圧力鍋による炊飯の方法を見つけた。

ということで今晩は圧力鍋での炊飯に挑戦!

重要なのは米の吸水を十分行うこと。

30分以上は水に浸しておかなければならない。

これはキャンプ時の飯盒炊爨の基本中の基本である。
大抵失敗するのは米の吸水不足。

さんざん失敗を経験している私としては納得の手順です。

次に圧力鍋に米を移し、米と同量の水を加える。


今回は2合の米を炊くので、水は2カップということになる。

圧力鍋の蓋をセットして、中火でふたのおもりがカタカタ動き出すまで煮る。

この時間が概ね5分弱。

その後、弱火で5分。

火を止めて10分蒸らす。

圧力鍋をコンロにかけてから20分程度で完成するわけだが、電気炊飯器のほぼ半分の時間だし、電気の使用時間はそのまた半分。

計算すると一回当たり3.5円程度で、電気炊飯器の半分の電力消費で済む勘定だ。

 

10分蒸らした後、恐る恐るふたを開けてみると...

あら、ちゃんと炊けているじゃないの。

お米もしっかり立って、口に入れると甘い。

手前味噌ですが、電気炊飯器より美味しい気がする。
夏樹も美味しいと言って、珍しくお代わりしたしね。

なにか懐かしい味なんだなぁ。

実際の所、私は体験したことは無いが、かまどで炊いたご飯というのはこんな感じなのではないでしょうか?

30分以上の米を水に浸す時間はおいて置いて、実際の調理時間20分は他のおかずを作る時間と思えばちょうど良いでしょう。

炊き上がった味は主観の問題なので、コスト面で考えると電気代を半分以下にリストラ出来ました。
1日当たり僅か10円未満の話で、鼻で笑う人も多いと思いますが、電気料の削減というのは実際の所、こういう地味な削減の積み重ねです。
映画「アポロ13」でも彼ら乗組員が月から生還できたのは電気量のリストラがあったから。

コストの話じゃみみっちいと感じる人は、機械任せじゃ無い、米ってこうやって炊けるんだという体験だと思うと良いのではないかな?
全自動ではなく、自分が主導権を握って米を炊くというのもなかなか面白いです。

是非、皆さんも挑戦してみては如何でしょうか?

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