設計製図試験攻略の決め手は国語力-建築士フォーラム

建築士設計製図試験受験者をサポートする私塾「建築士フォーラム」は今年から長期対策講座を開設し、早い人ではエスキスの講義に入っています。

このブログでも何回と無く書いていますが、設計製図試験は「設計」+「製図」の試験ではありません。
どちらかというと「復元」+「製図」の試験です。

受験に失敗する人を過去に何人も見てきましたが、たいていの場合は「設計」することで失敗しています。
本来、この試験は「設計」力をみるべき試験なのですが、一級建築士の場合、僅か6時間半の中で「設計」「製図」「記述」までやらなければなりません。

まず基本的に「製図」は3時間、「記述」は1時間で仕上げろと大抵の学校では教えると思いますし、その通りだと思います。
すると「設計」にかけられるのは最大で2時間半、見直し時間を考えたら2時間ということになります。

実務のことを考えれば、いくら基本設計案にしても2時間は無謀すぎます。
そんなことは出来っこ無いのです。

だから始めから「設計」などをしてはいけない。

もともと課題文は想定された設計案があり、それを因数分解したものであると理解した方が良いでしょう。

私のもとに遠方から通ってきている受講者は以前、某通信教育で課題文の中から重要なところを別紙に抽出しなさいと指導されたそうで、それだけでかなりの時間を費やしてしまいました。そして自分が重要だと思い、抽出した内容を手がかりに「設計」を始めます。

去年の受講者もそうでしたが、私はそれに関しては全否定です。
今回は去年の受講者の手記を読んでくれていたので、反発することなく私のやりかたを受け入れてくれました。

まず重要な部分を抽出すると言いますが、その段階ですでに受験者の「設計」する意思が入ってしまいます。
つまり必要か必要で無いかを自分の尺度で勝手に判断してしまう。

そもそも課題文は設定された設計案を因数分解したものですから、1行、1文字たりとも無駄なものはありません。

重要なのはその課題文をどう読み取るかということに尽きるのです。
それが出来ればエスキス(本来の意味のエスキスとは違いますが)などは勝手に出来上がってしまいます。
まさに「復元」してしまうのです。

前回の講義の際、小1の息子が使っている国語の読み取りのドリルを使用しました。

「国語は数学と違って幾つも答えがあるから嫌い」という話を聞きますが、それは正しくて間違いです。
基本となる国語力とは文章の正しい読み取りであり、そこに勝手な解釈をいれてはいけません。
感想文のような自分のフィルターを通したような応用編になって初めていろいろな解答があるのです。

息子がやっている国語はまず基礎編。

問題文を読ませ、○○の事を言っているのはどこですか?というような問題が出ます。

解答は必ず問題文の中にあって、それ以外にはありません。
ですから、自分の知っているほかの言葉があってもそれでは正解にはならない。
あくまでも○○は問題文中の言葉であることが必要なのです。

社会人として一線で働いている受講者に小1のドリルをやらせるなんて失礼な話ですが、設計製図試験の読み取りはまさにこのレベルなのだということを理解するにはちょうど良いのかもしれない。

「復元」すべき図面は課題文からのみ作られるのであって、それ以上でもそれ以下でもダメなのです。

ですから、正しい読解法を理解してしまえば、たとえその年の課題が何であれ、解法はまったく変わりません。
ただ、粛々と復元していくだけ。
課題が変わって怖いのは知らない言葉があったときパニックになってしまうからです。
これは単純に受験者の語彙が少ないだけの話で、これも技術力ではなくむしろ国語力の欠如と言えるでしょう。

小学生低学年での国語の勉強を疎かにしていると、その後の様々な科目に影響が出ます。
それは大人になって建築士を目指す段階にまで影を落とすのです。

そう思いながら、一層 息子の国語の勉強が気になってしまうのでした。

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