臨床経験不足の担当は利用者の不利益になります

今日の午前中に行った打ち合わせ。
住宅改修なのですが、実はこのお宅、以前も改修を行っています。
そのときは歩行に不安があるということで、トイレや脱衣場の床の高さを廊下にあわせ、いわゆるバリアフリーに、そして廊下にはこれでもかと言わんばかりに手すりが取り付けられていました。

今回、その利用者が車椅子状態になり、担当するケアマネージャーも代わったと言うことで、再度見直しを行いたいと依頼が入った次第です。
まず不思議に感じたのは、和室ばかりにこの家ですが、前回の改修時にどうして廊下のかさ上げによる段差解消に踏み込まなかったのかということ。
おかげでトイレや脱衣場と廊下の段差こそありませんが、部屋と廊下は段差が残ったまま。
トイレ、脱衣室も新しくなっていることから、こちらも前回の改修時の工事と思われますが、ならばおそらくこちらにも段差があったはず。
どうせ床の張替えをするならば、廊下をかさ上げして、家全体の段差解消を行えば今回のように車椅子になったから、居室と廊下の段差をなくしたいなどということもなかったはずです。
しかも、床は上げるのは簡単ですが、下げるのは大変。
その分コストも高くなります。
聞けば、前回担当のケアマネージャーは福祉用具業者に住宅改修を丸投げ状態だったようです。
それで取り付けられるものは全て取り付いている、福祉用具のショールームのような改修になった訳だ。
きっと、トイレ、お風呂の改修を頼まれたので、そこだけを見たということですね。

今回担当したケアマネージャーは絶対、業者に丸投げせず、自分でプランを作り上げる力を持っています。
彼は当事者とその家族の生活設計まで踏み込んだケアプランをつくりますので、住宅改修も当該部分だけを見るということはありません。

このお宅に初回訪問で、「これは何とかしなくては」と燃え、当事務所に依頼をしてくれました。
私もそれに応えるべく3プランを提出しました。
そのプランにはこれから家族が体験するであろう事を今までの臨床を基に提案しております。
利用者家族もまた、目の前の困難でいっぱいいっぱいで、その先を予測するのは困難です。それゆえに前回の改修で中途半端な段差の解消となってしまったわけですが、それを客観的に理解させるのはケアマネージャの力量。
願わくは、上手くまとめて欲しい所です。

どの世界でも同じですが、技術力を持たない者を担当にしてしまい、一番損をするのは消費者です。
自分の仕事を丸投げするようなケアマネージャーや、何の疑問も持たずに言われたことだけをただやればよいというような建築業者では消費者がかわいそう過ぎます。

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