太陽の恵みを考える 太陽熱給湯(1)

太陽の角度が46度違うだけで、冬は大雪となり、夏は猛暑で悩まされます。
地上にまるで違う季節を作り出す太陽の力はやはり偉大。
生命はその太陽の恵みで命を繋いでいる。
人間だってもっと太陽の恵みを積極的に取り込んだほうが良いでしょう。

今は原発問題で太陽光発電が大流行ですが、もっともコストパフォーマンスの高い太陽の利用の仕方は太陽熱温水でしょう。
過去にも何回かブームが来ていますが、また火がつきそうな感じですね。

ところでシステム化が大好きな日本人。
多分これから出てくるのはエコキュートやエコウィルとかの貯湯タンクとのハイブリッド化だと思います。
太陽熱を吸収し、昼間はその熱を貯湯タンクに蓄えるというのはとても理解しやすいですからね。
でもね、私としてはあまりお勧めできない。
なぜなら物は必ず壊れる運命にあるから。
全てをシステム化してしまうと、ひとつ壊れると全てが使えなくなります。
絶対壊れない、絶対安全であれだけ金をつぎ込んだ原子力発電所だって今の現状ですからね。

もうひとつには付加価値による不当な価格の上乗せが懸念されるから。
そりゃぁメーカーにとっては絶好のチャンスですから、政治家を使って助成金出させたりして消費者に訴求してくることでしょう。
でも冷静になりましょう。
助成金制度って一見消費者に向いているようですが、実はメーカーの利益誘導の為の制度なのです。
例えば、太陽光発電ですが、現在は10kWh未満のいわゆる家庭用パネルに対して1kWhあたり4.8万円の補助金がありますが、実は条件があって1kWhあたり60万円未満であることとなっています。
実際に自宅の使用電力を測ると0.5kWh位しか使っていません。
IHなどを使えば跳ね上がりますが、そのときは太陽光発電でも賄いきれない。
ですから、パネルはせいぜい1.5kWh~2.0kWh程度の発電量で自給出来ます。
足りない分だけ電力会社から買えば良いだけだし、そのほうが合理的。
ところが、太陽光発電をするためにはパネルのほかにもパワーコンディショナーや付属部品が多く必要となり、その総額を計算すると1kWh当たり60万円で収めることが出来ません。
で、結局僅か1kWh4.8万円の補助を受ける為に200万円くらい出して、3.5kWhもの発電パネルを買わされる羽目になる。
そりゃ余剰電力買取制度で1kWh42円で買い取ってもらえますよ。
それにしても、上手くやっても減価償却には15年から20年もかかってしまいます。
でもその間にはメンテナンス費用が掛かりますから、正直、現状ではとても採算は合わないでしょう。
(採算が合うのは価格が現在の1/3程度まで下がり、補助金無しでもいいから1.5kWh程度の自給できるだけのパネルを載せた場合でしょうね)

ところで私のクライアントで「新・森の生活プロジェクト」にお住まいのお宅には太陽熱給湯器を設置しました。
こちらは発電に比べると随分お安い。
でもメーカー品ですから先に述べたハイブリッドまでは行かなくてもかなりシステマティックな作りです。
もちろん給湯器とも接続可能でしたが、故障のリスクを考えて単体での利用になっています。
これが絶大なパワーで、もう今頃の季節ではお風呂のお湯は十分まかなえるそうです。
夏場では水で薄めなければとても入れないほどの熱さになるとのこと。
1年の半分以上は太陽の恵みのお風呂に入っている訳です。

これはぜひ我が家にも導入したい。
実は今年の夏までにやっておきたいことの筆頭でした。
でもどうせやるならメーカー品乗っけるよりもっとシンプルに行きたいところ。
実際、ネットを検索すると多くの方が太陽熱給湯器のDIYを実践されていますね。
その多くは塩ビのパイプを利用したものですが、いわゆる真夏にホースから水を出すと最初は熱湯が出る、それを大型化したものと言って良いでしょう。
実に参考になります。
金額も5万円~10万円程度で作られているようでリーズナブル。

そこで太陽の熱でどの程度水がお湯になるのかを昨日検証してみました。

これが建築家の実験か!と笑われるくらい簡単な実験。
バケツに9リットルの水を張り、それを日向に放置するだけです。
7時10分に実験を開始 その時点で水温16度 気温12度でした。天候は晴れ。
11時20分 水温は30度に上昇、気温は21度 なかなか期待できますねぇ。
12時20分 水温は31度に対して気温は27度まで上昇。天気は予報通り薄曇。
やはり太陽光が少ないと水は温まりません。
14時30分 水温は27度、気温は23度、天気はすっかり曇り、急速に冷えてきました。

まぁ当たり前の結果ですか。
きっと真夏ならもっと熱くなり、夕方はさめているのだろう。
やはり水は吸熱も早いが放熱も早い。
塩ビパイプでつくるDIYの給湯器もその辺がネックのようで、温まったお湯は速やかにバスタブに落とし保温しています。
製品との違いがまさにここです。
製品の場合は分離型であれ、一体型であれ貯湯タンクに温まったお湯を溜めてしまいます。
さて、DIYで貯湯タンクまで作るとなるとどうしたものか?

なるべく緩めに考えてみたいと思います。
(つづく)

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