Miele VS Panasonic もしくは ベンツ vs トヨタ

昨日は長野でオーダーキッチンを制作する工房の社長が弊社を訪問してくれました。
「家を買う」と言う言葉が当たり前のように聞かれるようになって久しいですが、やはり家は創るものであってほしい。
システムキッチンもパーツを規格化することで、様々な要求に応えられる訳ですが、日本で売られているシステムキッチンのほとんどはメーカーで設定したパターンのまま使われています。
「もっと自由に!」
意思のある設計者は叫びますが、なかなか届きません。
当事務所では玄関ドアからオーダー物が多いのですが、規格品とオーダー品の価格差は微妙です。
もちろん低価格品との差は大きいですが、それを比べるのもおかしいでしょ。

ただ、全てをオーダーする事も不可能。
オーダーキッチンとはいえ、コンロやオーブン、食洗機などはメーカーから購入しないといけませんし、冷蔵庫も同じ。

昨日いらっしゃった工房ではMieleの調理機器を採用しているとのこと。
Mieleといえばドイツのメーカーでヨーロッパ市場ではナンバーワンの家電メーカー。
日本のPanasonicもその牙城を崩すのに苦労しているメーカーです。
値段もそれなりに高く、トヨタに乗るかベンツに乗るかみたいなイメージですね。
自動車と一緒で機能を比べると圧倒的にPanasonicのほうが多く、それにくらべてMieleのそれは単純そのもの。
一見するとやっぱり日本製が良いよねと思ってしまいます。
彼らがなぜMieleを採用しているのか話を聞いてみました。
まず気になるのが消費電力です。
実は日本の省エネ家電には私は疑問を持っています。
捏造とは言いませんが、基準達成の為の測定用のモードがあって、それで運転した数値は実際に使うのとはかけ離れているという疑念です。
冷蔵庫にしても省エネの最新型と昔のとを比べても殆ど消費電力に違いがありませんでした。
それは放熱処理の違いによるもの。
昔の背面放熱方式は壁から離すことで放熱出来ました。
現在は冷蔵庫の側面パネルによる放熱なので、効率を高めるためには冷蔵庫の周りすべてに空きが必要となります。
ところが実際のところはそんな設置をするわけがありません。
システムキッチンのように仕舞い込むような設置の仕方をすると放熱効率が下がり消費電力が多くなるというのです。
確かに省エネ達成率が最も高いのがドイツ。
何だかんだ言っても日本のCO2排出量は増えていますから、ドイツの言い分のほうが説得力があるなぁ。

またMieleの冷凍庫は直冷方式のため定期的な霜取り作業を行わなければならないのですが、これは一見不便に思えます。
日本の冷蔵庫の多くは霜取り機能が付いていますので、メンテナンスフリー。
ところが自動で霜を取るということは定期的に庫内を温めているということで、これは食品の冷凍を考えたとときには不利となるのだそうです。
「霜を定期的に自分で取りますが、そのときに庫内の整理をしちゃうわけですよ。」と工房の社長はさらりと言います。
実際定期的に庫内の整理は重要です。
うちの冷蔵庫も怪しげな食材がいっぱい入っていますものね。

食洗機もMieleには乾燥機能が付いていないんだとか。
ウチなんかはむしろ乾燥機として使っているものだから不便だなぁと思いましたが、温風を食器に吹きかけるということは、外部から空気を導入していることで、その際のフィルターがきちんと作用していないと危険です。それより完全密閉で洗浄の際の温水の温度で自然乾燥させたほうが良い。どうせ食洗機を開けるのは次の食事の時ですから。

確かに単純で合理的。
単純ということは故障の確率も低いということです。
どんどん複雑化する日本製品と単純さを極めていく欧州製品。

オーブンに至っては日本のそれは機能の塊。
その代わり庫内が狭い!
MieleとPanasonicを比べると広さが倍違います。
いろんな機能が付いても結局チンするだけの生活なら小さくても関係ないけど、家でパーティしようとすると広くないと七面鳥が焼けません。オーブン料理がメインなら広さを選ぶのでしょうね。

どちらに軍配が上がるのでしょう?
メンテナンスは当たり前、生活を楽しむ人ならMieleかなぁ?
今度は実際に使ってみたいですね。

カテゴリー: 建築 パーマリンク

コメントを残す