船頭の多い船は進まない

事業を立ち上げるのは仲良しグループでは難しい。
お互いが遠慮しあって、総論OK、各論NGの場合がほとんどだからだ。
最初は総論部分でつながるが、所詮皆が悪く言えば他人の褌で相撲を取るような腰掛的な無責任さがある。
実際に具体的な活動(例えば大きなお金を動かさなければならないような時)が始まると、皆自分のところにも責任が及ぶようになり、損得勘定から始まり主張に微妙なズレを生じ始める。
経営者が自分ひとりで新規事業を始めるのならまだ良いが、サラリーマンが脱サラではじめるのは難しいのだ。
総論OKの部分も経営者への不満で一致しているだけという場合が結構多いからだ。
経営に携わったことも無いのに自分だったらそんな経営をしないなどと偉そうに批判する。
仲良しグループに亀裂を生じると、誰かを仮想敵国にしてそこを批判することでなんとかまとまろうとする。
でも結局はその連鎖で解体は目に見えている。
 
何を隠そう、私の事務所もそういう遍歴を経てきた。
私は皆で立ち上げた会社の中で仮想敵国役だったが、結局母体も解体するし、それまでの責任もあったので私が名前を継承し設計事務所として再生した。
設計事務所なら一人でも出来る。
皆で作った借金も相続してのスタートできつかったが、それでも一人でやれるというのは楽だった。
仕事はどんなに残業してもしたいけど、人間関係の調整なんてこりごりだ。
SOHOでやって、一人では補え切れないときは協力関係にある設計事務所にアウトソーシングしたほうが合理的である。
 
福祉関係も人件費が大変な問題になっている。
年収も低く、働いている人からは経営陣が搾取しているように見えるのかもしれない。
ならば自分たちで理想的な会社を作りたい。
気持ちはわかるが船頭が多すぎる。
責任を取らない船頭なんて何人いても船は進まない。
船と一緒に沈む覚悟の船長一人いれば良いのだ。
たまにそうした事業立ち上げの相談に乗るが、うまくいきそうな人は私の目から見る限りでは少ない。
結局自分のやりたい事業は自分ひとりが代表でよく、どんなに仲良しでも他は従業員の地位からあげてはいけない。
従業員は職業選択の自由の下、いやだったら辞める権利を有する。
代表は日本の社会では企業責任を個人が補填しなければならないため、そう簡単に辞めることなど出来ない。
代表と従業員に差があるのは当たり前である。
それを問題にして集まった仲良しグループが解体するのは当然の結果なのだ。
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