未だにどれだけの被害があったのか先の見えない四川大地震だが、この世界最大級の悲劇を中国全体で見た時にはどうなのだろう?
被害に遭った人たちの苦しみは2度の地震と1回の水害をわずか3年で体験した新潟県人として十分わかるつもりだ。
一方で建築に携わるものとして、この新潟県における震災の影響はというと震災復興の名目で行われる久しぶりの大型公共工事と建築ラッシュだった。
中国はまもなく始まろうとするオリンピックで未曾有の建築ラッシュとなっている。
そして今回の大地震である。
今回の地震でオリンピックの開催も怪しいのではないかという報道もされたが、絶対そんなことは無いし、中国政府は何を優先しても行うだろう。
それはオリンピック開催が今の中国の原動力だからだ。
しかし、一方でこのバブルはオリンピック以降弾けるのではないかという予測を多くの専門家がしていた。
さて今回地震にあった四川省だが、どちらかというと1次産業の盛んな地方だ。
農作物への被害は大きかったが、設備投資の掛かる工場は少ないから中国全体の景気にはそれほど悪影響を与えていない。
これから始まるであろう震災復興は規模的にもかなり大掛かりになることは予測が付く。
オリンピックの次はこの震災復興という公共投資が控えているのだ。
しかもオリンピック同様、人民のコンセンサスを十分に得ることの出来る事業だ。
愛国心に燃えた労働力が北京から四川へ向かうことだろう。
世界中の企業も顔こそ神妙な顔して、手ぐすねを引いているに違いない。
とりあえずこれでオリンピック以降の目標が出来たわけだ。
中国のエネルギー消費は震災復興という大義名分の下、ますます活発になるだろう。
新潟県の震災復興は一段落し、またしても建築不況の状態である。
それは復興工事の間に次の一手を考えていないからだ。
中国人は頭が良いからこの第惨事をバネにしっかり次の一手も考えることだろう。
とりあえず、この四川大地震のおかげでオリンピック以降の経済推進力が生まれたことは間違いないだろう。