富弘美術館 ヨコミゾマコト

今回の旅でもっとも収穫だったのがみどり市の富弘美術館でした。
2006年建築学会賞を受賞したこの作品はコンペにより選ばれました。
ハニカム形状の薄い鉄板を構造とし、52m角の中に33の円弧を集積させたプランは一見異様ですが、中に入ると有機的に繋がる空間に惹かれます。
 
 
道路を挟んだ反対側の一般車駐車場に車を止めて見る外観はそれほど主張したものではなく、むしろ極限まで低く造られたそれは外構に埋もれた感じ。
 
 
とにかく薄さへのこだわりは半端ではなく、様々な仕上げ材を使っているがその薄さゆえ嫌味が無い。
建物内は撮影禁止ということで画像はありませんが、円弧の繋がるところが次の部屋への入り口となっていて、絶妙に導かれます。
内部の仕上げも様々ですが、外部同様嫌味無く綺麗に続いていくところはすごい。
 
 
円の集積を見ることが出来る部屋。展示物も無かったので撮影したら怒られました。
この後訪問した隈研吾の作品は展示物以外だったら撮影しても構いませんよと言ってくれましたが、それぐらいのおおらかさはあっても良いのではないでしょうかね。
ルーブル美術館での個人撮影はモナリザだろうが何の問題も無かったですけど。
 
 
外に出ると人造湖の草木湖が一望できます。
富弘美術館は道の駅の一角として配置されており、こちらを文化ゾーン、ドライブインを中心とした商業ゾーンに分かれています。
美術館の周りは散策でき、親水広場も設置されており、時間が合ったらゆっくり歩いてみたいですね。
 
 
バックヤードも気を抜いていません。
機械室であろう部分の壁は大理石、右側の細かい穴はエアコンのクーリングタワーのための廃熱用でしょうか?
キュービクルもこんな感じに上手く隠され、建物の形を一切崩していませんでした。
それにしてもバックヤードにもこれだけ経費をかけられるというのも羨ましい。
 
 
擁壁の納まり、いかに薄さにこだわったかが見て取れます。
 
 
駐車場側の斜面によじ登って撮影しました。
各部屋が円筒の集積で出来上がっているのがわかると思います。
建築家のヨコミゾマコト氏は1960年生まれ。私とは1歳違いです。
これが彼の出世作となったわけですが、力を与えられる作品でした。
建築を目指す人には一度見て欲しいと思います。
私は妻と子供を連れて行きたくなりましたよ。
ところで建築視察で建物ばかりが気になりますが、この美術館に収められている星野富弘さんの詩画もかなり感動します。
カテゴリー: 建築 パーマリンク

コメントを残す