昨日、塩沢(現南魚沼市)に行って来た。
今年の春から着工する住宅の打合せだ。
クライアントは昨年の六日町(現南魚沼市)で行われた私の講演を聴いてくれた人で、わざわざ三条の私に設計の依頼をしてくれた。
塩沢は新潟県でも豪雪地帯である。
せっかくこれだけ降る雪を利用しない手はない。
そこで雪国の知恵、「雪室」の提案をしてみた。
昨年秋に提案したプランは切妻の大屋根を持つ和を表現したデザインに室(ムロ)を併設したものだった。
最近の雪国の住宅のデザインときたら、いかに雪から逃れるかを形にしたように、高床であったり、片流れの屋根で形が悪い。
壁の立ちと屋根の比率は重要だ。
やたら壁がそそり立っている総二階高床の家ではとても美しいとは言えない。
1階が雪で埋もれる季節はまだしも、雪のない季節は見られたものではない。
また、住む人も大変である。
新潟県が推し進めている「利雪住宅」のプランも高床部分に雪を貯めようというものだが、超高齢化に適合する建物とはどうしても考えられないのだ。
私のデザインはほぼ平屋建てでプロポーションは良かった。
しかし2年続いた豪雪である。
今年は去年にもまして大雪で、現在の家の2階の屋根まで落雪した雪がくっついたそうだ。
こうなってくるとクライアントもこの雪を利用しようなんて余裕がなくなってくる。
1階は雪の中で昼間でも灯りが必要だ。
とにかく雪なんか見たくもないという気持ちになる。
また、今年は大屋根からの落雪で死亡した人のニュースも多かった。
なだれのように雪が落ちてくるのだ。
そんな訳で当初のデザインをこのまま建築するのは厳しくなった。
雪の処理を考えながらデザインするのは思いのほか大変だった。
結局1ヶ月以上悩んだ末のまったく新しい図面が出来上がった。
その図面を説明に行って来たのだ。
私としては雪室による利雪はチャレンジしたい今年のテーマだ。
ぎりぎりのところでクライアントの了承を得ることが出来た。
ようやく基本プランが決まった。
このブログでもメイキングを公開していきたいと思う。