どうしたことだ

先日の日曜日に今年の一級建築士設計製図試験が行われた。
さまざまなサプライズ問題が想定されていたが、結局なんのひねりも無い問題だった。
昨晩は受講者に向けて今年の問題の講評とプランチェックを行った。
多分、あっという間にプランが決まり、じっくり図面が描けたことだろうと思っていた。
ところが、彼らのプランを見るとなんとも不思議なプランが多い。
さすがにプランが出来なかった者は居なかったが、問題の読み取りが甘い。
しかも授業中に繰り返し教えたことが出来ていない。
サプライズどころか基礎知識の欠落である。
今回の課題では敷地に対して方角が45度振ってあった。
授業中にもし課題で住居系の地域指定がされていて方角が45度振ってある場合は北側斜線は北東、北西の2面あるから注意するようにと教えた。
今回、用途地域指定は商業系のため北側斜線は引っかかりはしないが、基本的に北側斜線を検討する北東、北西は北の扱いだ。
日照を考慮するように問題文で指定されている以上、住戸は南もしくは東、西に向かなくてはならないし、常識だ。
しかし、彼らの何人かは北東にある公園を意識してそちらに住戸を向けてしまった。
また、今回の敷地は北東、南西の道路に挟まれていて、北東は敷地から2mの段差があった。
地階に居住者用駐車場を設けるように指定されていたが、階高4mなら北東から車路を取れば2m下るだけで済むので車路を短くする事が出来る。
地下駐車場に駐車する車の台数を考えると車路に使う面積が足りなくなるので、当然北東から入るという計画が必要なのだが、それが思いつかない。
結局そのしわ寄せがいろいろ出て、指定された台数を確保できなかったりする。
また、2mという段差を理解しきれないのか、車路の上部に1階を載せてしまう者もいた。
これでは車路に突入した瞬間に梁にぶつかってしまう。
結局のところ基礎知識が乏しく、生活体験も少ないため実際のイメージが出来ないのだろう。
やはり建築士の試験は実務経験を数年積んだのちに行うべきなのではないかとつくづく感じた。
今年は8割以上が作図まで完成させたという情報がある。
例年になく完成者が多い。
ということはいかに成果物の原点が少ないかが勝負という事になる。
そう考えるとあの程度の間違いを犯すようでは合格はなかなか難しそうだ。
全て教えたつもりだったが、何にも理解していなかったんだなと教える事に自信が無くなってしまった。
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