〈動物たち)は(自然)と出会えるか?

昨晩はJIA〈日本建築家協会)新潟クラブの建築セミナーが開催された。
講師は平田晃久氏でそのタイトルが「〈動物たち)は(自然)と出会えるか?」である。
動物と自然の関係は人間と建築のそれに似ている。
自然は動物たちがどうすることも出来ないが、動物たちは自然からの影響を受け、また自然界の居心地の良い場所を目指し落ち着く。
平田晃久氏の建築もまた有機的に人とつながり、なにやら森に迷い込んだような錯覚に陥る。
空間構成と目線の絶妙なコントロールはさすがだ。
1971年生まれだから私よりも10歳も若いけど、悔しいくらいすばらしい感性の持ち主だった。
きっとあるところまでは同じ思考をしているのだろうが、そこからの展開が違う。
自分の中にある常識が邪魔をするんだなぁ。
彼の建築では動物たちはきっと居心地の良い自然と出会えるのだろう。
しかし、その自由な空間構成の中で手負いの動物はどうするのだろうと考えてしまう。
自然界の中で手負いは致命傷だ。
元気な動物たちはきっとどんな山でも登っていけるのだろうが、手負いではそれが出来ない。
彼の自由な建築を堪能するには元気に幾重にも重なる平面を行き来する体力が必要だ。
それは普通の人にはどうってことないことだけど、ユニバーサルデザイン的には厳しい。
きっとそれは彼の作る自然(建築)の中でも十分配慮されコントロールされているのだろう。
私は先にUDがあって、彼ほど自由に空間をコントロール出来ない。
懇親会の席で彼は「お年寄りだって元気に頑張りますよ。」と語ったが、「頑張る」というのが気になった。
それにしても久しぶりに感性をくすぐる内容で楽しかった。
独立してまだ3年の急成長株のこれからが楽しみだ。
また演会場で建築の学生にしたアドバイスは的確だ。
「とにかく建築をいつも考えなさい。」
「世界中の本物の建築を見て回りなさい。オリジナルは必ず心の琴線に響くはずである。」
私は未だに世界の建築にさまよう学生のようである。
 
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