隣家からの視線

新築している隣家の窓が自分の家の浴室や寝室の窓と同じ位置にあって、これから年頃を迎える二人の娘が気にしているという相談を受けました。
民法では浴室に限らず、新築している隣地境界線から1m未満で隣家を覗ける窓に対し、ルーバーなどの目隠しを要求できるとなっています。
また、あくまでも民事ですから、この要件に当てはまらなくても明らかに自邸のプライバシーを覗かれるような場合は目隠しを要求し、要求が通ることがあるようです。
 
今回の場合も、家ができて隣人が越してきてからではトラブルになってしまうので、業者に改善措置をしてもらうように頼んではいかがですかと回答しました。
ところが、この業者、新築にあたり、近所の家に挨拶代わりにふすまの開け閉めが硬くなったりしたところをサービスで直して回ったとのこと。
そこまでは良いのですが、今回の要求に対し、「もうすでに1回やってあげてますから、目隠しを付けたいのなら有償ですよ。」と言って返したというのです。
別に相談者の家に目隠しを付けたいのではなく、今新築の家に目隠しを付けて欲しいということなのですが、どうもそういう感覚は無いようです。
また相談者も玄関先を無料で直してもらった手前、それ以上言えなかったとのことでした。
挨拶代わりの無料修理と建築にかかるクレームはまったく別物です。
それに隣家の窓と自邸の窓の位置が重なるなんていうのは、設計の際、周りの環境をまったく読み取っていない証拠です。
規格型住宅か自由設計であっても当該敷地図のみで設計を進めたのでしょう。
設計に関する知識の低さがクライアントや周辺住民に対して問題を起こす典型的な例でしょう。
 
もう一度 業者にこれはクレームであるということをしっかり伝え、それでも善処されないようなら、市役所の建築指導課に相談するように勧めました。
ただ、それでも実際のところ、建築基準法ではこうした項目はありませんし、民法では罰則規定がありません。
多分、市役所も何も出来ないでしょう。
とりあえず、当事者同士で円満に解決してくださいと言うだけ。
それでも建築指導課から円満に解決するように指導を受ければ業者の対応も変わるかもしれません。
どうしても駄目なら民事に持ち込むしかありませんが、これから末永く近所づきあいがあるでしょうに遺恨がのこってしまうでしょう。
そうならないようにきちんと対応してくれる業者であることを切に願うばかりです。
 
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