原稿を仕上げました

杢昌文信 夏号に掲載するコラム「井の中の蛙 大海を目指す」の原稿を書き終えました。
ひとまず先に良かったらご覧下さい。
 

「5月に予定していた北欧旅行は思いがけない新型インフルエンザのおかげで中止になってしまいました。

本当はこの紙面で旅行の報告をしたかったのですが、そういう訳で今回はデザインのお話をしたいと思います。

ヨーロッパを旅すると様々なデザインを目にします。

まず最初に空港で目にするピクトグラム(絵文字)でしょう。

直感的に理解できるピクトグラムのおかげで、例え言葉が通じなくても空港内を迷わず歩くことが出来ます。

日本でもピクトグラムはありますが、やっぱりヨーロッパの方が洗練されています。

何が違うのかというと、日本のそれは言葉で補足説明しているのが多かったり、日本独特の文化を背景とした絵だったりするため、異文化の人にはなかなか通じないことが多いのです。ヨーロッパは多国籍、多言語で陸続きという事情から、その国独特の文化や言語をベースにしたピクトグラムでは通用しません。

 

小さな街や村を訪れると、大抵中心にあるのが教会で、その前には市場の開かれる広場がありますが、これも都市計画する上での重要なデザインとなっています。

教会を上から眺めると十字もしくは長方形になっていますが、十字はその形の通り十字架を模したものであり、長方形はノアの箱舟を模したものであると言われています。

その聖堂は西の入り口より入り、東の至聖所のキリストに面することになります。

つまり十字の教会そのものが方角を示しているわけですね。

教会建築は高い尖塔を持ち、通常教会を超える建物は神への冒涜とされ建築しませんでしたから、教会の位置は街のどこからも見つけ出すことが可能でした。それで旅人は方角を知ることが出来たのです。

街づくりはまず教会を作り、その前に広場をつくります。

この広場は市場が開催されたり、直接選挙の投票や中世には処刑が行われたりもしました。

広場には市民が集まれることが重要な要素であり、広場の広さが街の規模を決めることになります。広場のキャパを越えたところで、新たに教会を作り新しい街づくりをする都市計画はただ肥大化する日本のそれとは大きく違いますし、きちんとした思想を感じさせられます。

広場を取り囲むように市庁舎、広場を始点として路地が出来、いろんなお店が広がっていくというのが標準的なヨーロッパの街並みでしょうか。

こんな街の成り立ちが理解できるとヨーロッパの街並みはとても判りやすくなります。

 

ヨーロッパも日本同様、巨大な商業施設が郊外に建築されるようになって来ましたが、旧市街は観光地化していることもあり、まだ小さなお店がきれいに軒を連ねています。

ただ、古い建物は石組みの制約上、開口部を自由にとることが出来ず、どの店も同じような外観にせざるを得ません。そこでお店がどんな商品を取り扱っているのかを道行く人に知らせる為に道に突き出るようにぶら下げた看板でアピールしますが、これがまた美しく、街を見て歩く喜びになります。

 

他国を旅することが多いヨーロッパの人々は例え言葉が通じなくても、こうして教会やマーケット、お店の看板などで方角を知り、サービスを受けることが出来たわけです。

 

Design デザインとは

de +signare」=記号を作り出す

というラテン語から来ていると言われていますが、重要なのは相手にきちんと伝わること。

 

ヨーロッパの風土が培った「デザイン」という言葉を、私達は日本で随分安易に使っているなと反省してしまいます。

DstyleDにもデザインの意味が盛り込まれています。

Dstyleの作り出す建築が何を伝えようとしているのか、ぜひご一緒に探求の旅に出てみませんか?

建築家、家具作家、造園家他がクライアントの良きパートナーとしてご案内申し上げます。

 

さて次回は秋号ですね。

夏は国内探訪が我家の年中行事ですし、たまには日本のお話でもしてみましょうか?

 

ところで、杢昌文信には私以外にもいろんな人が寄稿しています。

面白いのが富所和彦さんの「自然暮し 自然な暮らしを求めて」。

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そんなフリーペーパー「杢昌文信」 購読希望の方はぜひDstyle阿部君までメールしてください。

mokushou.tennensozai@triton.ocn.ne.jp

 

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