広重美術館 隈研吾

今回の旅行の目的とも言えるのが隈研吾三部作の視察。
一日目最後の建物が馬頭町の広重美術館です。
いろいろな高級車のバックを飾っていますね。
2001年竣工 幕末の浮世絵師歌川広重の作品を所蔵しています。
あらわしの鉄骨をガラスの皮膜で覆い、それを細かい杉のルーバーが取り囲む隈研吾の世界観が現れた作品だと思います。
私が建築雑誌で見たのよりもだいぶ杉も渋が出て、枯れた感じになっていました。
 
 
この建物も薄さを追求していますね。
鉄骨の登り梁の端部の処理で見て取れます。
 
 
庭に抜ける自由通路とエントランスへのポーチ部分。
杉のルーバーがオリジナルの色を残しています。
同行した先輩建築家がもう少しルーバーの背が高くても良いねとおっしゃいましたが、私的にはこれくらいの軽さで良いのかなと思います。
 
 
エントランスホールから展示室へ
天井の杉のルーバーと和紙の壁。
展示室は撮影禁止ということですが、大体こんな感じで繋がって行きます。
建物は基本的にガラスでスケルトン。その中を和紙で仕切っていきますが、なにせ建物は美術館、それも浮世絵ということで紫外線による劣化を最も嫌いますから、スケルトンの皮膜の中にボックスを置いた感じの造りになります。
係りの人に聞いたら光熱費はかなりのものらしい。
もともと美術館という性格上、空調管理はかかりますけどね。それにしても天然素材を使っている割にはあんまりエコではないらしいですね。
そうは言ってもさすがは隈研吾、素材の生かし方、ディティールは美しい。
 
 
屋根のルーバーの葺き替えについて先日隈さんに尋ねたら、このまま朽ち果てるまで補修はやめておこうと言われたそうです。
まあ、メンテナンス費用もかなり掛かりますし、経年変化も設計のうちということでしょうか。
杉の板といっても防腐、難燃処理していますから、替えるだけでも大修繕になります。
 
 
建物には必ずメンテナンスが係るものであり、それを無視することは出来ません。
公共建築のみならず個人の住宅も然り。
しかし、そのメンテナンスをも苦に感じさせない、美しい楽しいデザインが名建築と言われるのだなあと納得させられた作品でした。
私達オヤジはこの後宿に入り、飲んだくれて1日を終えたのでした。
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