戦う相手を間違えるな

今年も建築士試験の時期がやってきました。
まもなく新しい講座が始まります。
今年の私の担当は平日コースということで、例年無かった夏の日曜日が久しぶりに復活。
おかげで毎週末はキャンプに出かけられますね。 

さて、先日講師顔合わせがあり、貴重な話を聞く事ができました。
建築士の試験は絶対評価が基本と言われていますが、実のところはどう考えても相対評価ではないかと言われてきました。
というのも毎年試験の難易度は変わるのに合格者の数はほぼ同じという現状があったからです。
それにしても近年の設計製図の合格者を見ているとどうも判らないのが、大きな間違いをしていても合格できる人もいれば、かなり完成度が高くても不合格になる人もいるということ。
それがここ数年顕著に現れています。
今回の説明で語られたのはどうも受験回数毎に採点し、上位何パーセントかを合格者にしているのではないかという学校の分析でした。
新しい試験制度になってから一級学科合格者は2次試験である設計製図試験を3回受験するチャンスが出来ました。
初回の受験では学科に追われていて製図力はまだまだです。
2回目では製図だけに力を入れることが出来ますから、初回受験よりも有利。
今まではそういう解釈でいましたが、どうも違うというわけです。
受験回数毎に採点するということになると、初回受験者はレベルの低いなりに上位何パーセント。
2回目ではレベルの上がった中から上位何パーセントが合格者となります。
3回目はパイがドンドン小さくなりますから、一層合格と不合格のレベル差が近づき、僅かの差で合否が分かれてしまう。
2回目の受験だからと余裕をぶっこいては駄目なんです。
全体の中の上位何パーセントなら合格できるかもしれないけど、自分が戦う相手は自分とほぼ同じレベルの同じ受験回数者なのですから。

あくまでも学校側の分析であり、公には絶対評価となっています。
しかし、ここ数年の生徒達の合否を見ていて不思議だった事が私は納得できました。
大きな間違いを犯しやすい初心者である1回目の受験者でしたが、確かに合格した子は飛びぬけて図面が綺麗でアピールするものでした。
不合格だった2回目の受験者は大きな間違いこそ犯していないが、図面としてはそんなにアピールしていない。
2回目以降の受験者は1回目の受験者よりレベルが上がって当たり前、よりアピールする図面を描かないと合格できない。

戦う相手を間違ってはいけないのです。
初回受験者のレベルの低い図面を見て安心していては、また合格できません。
講師としても初回、複数回の受験者が混合する教室で、各々に合った指導が求められているようですね。

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