1+1=2

今年も一級建築士を目指す人たちに向けて設計製図の講座が始まった。
今年初めて学科試験をクリアした人たちはいよいよ実技を試される訳だが、試験は5時間半でエスキス(プランニング)と作図を終了しなければならない。
ここで問題になるのは製図時間だ。
いまどき実務においてもCADが全盛で手描きの図面などはほとんど無いだろう。
だから受講者の大半は手描きの図面が初めてということになる。
試験の時間配分を考えるとエスキス2時間、作図3時間、見直し30分というのが標準となる。
作図が3時間を越えてしまうと思考する時間が減り、3時間を切れれば増えると言うことだ。
まずは3時間作図が合格のための絶対条件といえるだろう。
この絶対条件はなんとしてもお盆休み明けにはクリアしておいてほしい。
休み明けからはエスキス中心の授業になるからだ。
学校では快適な環境で勉強できるように講義の無い日の夜も開放教室を開催している。
そのうち何回かは私も教室に入り生徒の質問に答えるようにしている。
そこでお盆までの開放教室を3時間作図強化訓練として、今年初めての受講者やいまだに3時間を切れない受講者を集め、タイムトライアル方式で特訓をしている。
受講者の大半は真面目できちんと時間前に製図版をセットし訓練を受ける。
昨日は2回目だが彼らはほぼ3時間で図面として採点のテーブルに載るまでになった。
あとは減点されないように問題文にある作図の特記事項を描き込み図面密度を上げるかだ。
しかし数名の受講者は遅れてきて、初めてだからわからないと文句を言う。
初めてだからわからないのは来ている人全員同じだ。
だから講師の話を聞き逃さないようにこう講義前には準備を済ませている。
遅れてくるから図面は当然のことながら終わらない。
遅れているにもかかわらずトイレにたったらしばらく戻ってこない。
講義終了後22時まで教室は使えるので図面は完成させて帰りなさいと指導するが、その場面も彼らは休憩中だから私が帰った後は早々に帰るのだろう。
図面の王道は枚数を描く事に尽きる。
描くと言うのは1枚の図面を完成することだ。
完成させない図面はいくら描いても実力にはならない。
1+1=2 になるが 0+0=0 なのだ。
今晩は休み前最後の開放教室だ。
今回は2時間半作図のタイムトライヤル訓練で3時間を切る時間配分を体験してもらおうと思う。
この時期に3時間をきれるというのはすごい自信になるだろう。
3時間作図は合格の絶対条件だ。
夏を試験勉強でつぶすのは今年限りにしたいなら受講態度を改めないといけない。
真面目な人とそうでない人は講座が始まってわずか一週間で後者が思っている以上に実力に開きが出来ている。
学科試験での合格者は10%、そのうち設計製図では30% 全受講者のわずか3%しか一級建築士にはなれない現実感が足りない。
たしかに学校に来れば5割以上の合格率にはなるが、毎年その内訳は結局真面目に通い、課題もきちんと提出した人は8割が合格し、それ以外が落ちている。
反省して翌年も通うというのも良いが、まだ間に合うから自分の置かれたポジションを認識すべきだろう。
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