遮熱の話

現在進行中の物件に遮熱も配慮しようと思い、毎日いろいろ考えている。
断熱材メーカーもさすがに無視できないらしく、新商品にはアルミ箔を貼ったものが多くなった。
ところで、熱線って何だろう?
さっそく調べてみた。
熱線とはいわゆる遠赤外線というもので、可視光線よりは電磁波に近い。
その伝達は輻射により、熱線のあたった部分の分子を共鳴させ、発熱させる。
要するに電子レンジの理屈だ。
発熱する度合いは電磁波の吸収率により、水や木材などにはすぐ吸収されるが、表面の光った金属などでは反射されてしまう。
その吸収率だが、よく遠赤外線は体の奥まで浸透すると言う広告を見かけるが、あれは嘘で、実際は表面のわずか0.1ミリ程度のところでほとんど吸収されるらしい。
つまり、建物における熱線の影響を考えるとこうなる。
太陽から放出された電磁波が空気中に吸収されながら一部は地表に到達する。
到達した電磁波は建物の表面素材を共鳴させ、発熱させる。
それが建物の屋内に伝導し、内壁表面にその熱が伝わる。
もし屋内がその温度よりも低ければ、内壁表面は熱線を輻射させ、その熱線を受けた人間の皮膚表面を共鳴させ発熱させる。
冬はその逆で、屋内で発熱するのは暖房器具ということになる。
そう考えると、壁体内で遮蔽素材を用いるのはナンセンスだ。
効果が無いと断言することはしないが、限りなく効果は薄く、なにやら民間療法に近い感じすらする。
射熱を真面目に考えるなら、外壁、内壁とも表面での処理が効果的だろう。
そして、やはり壁の断熱は重要である。
熱線を遮蔽することと、断熱はまったく違う作用だ。
さて、そこで最近流行のアルミ箔だが、確かに熱線の反射率は高い。
しかしそれよりも問題は熱伝導率の高さだろう。
業者がよくNASAの技術とかもっともらしく使うが、宇宙服でアルミ箔が遮熱素材として使われるのは宇宙が真空だからだ。
宇宙では熱伝導ではなく、遮熱対策のほうが効果的なのだ。
真空ではない地上で同じ理論は通らない。
むしろNASAの技術ならスペースシャトルの耐熱タイルを応用したほうが現実的である。
塗料や壁材に混ぜるセラミック遮熱材がアルミの遮熱材よりもかなり低価格で出ているので、今回はそちらをもう少し検討してみようと思う。
もちろん消耗品だが、表面材なのでメンテナンスが簡単だ。
壁体内で解体するまでメンテナンス出来ないよりも余程安全である。
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