公開審査

昨日は新潟県内大学卒業設計コンクールの審査員を無事務めてきました。
各大学の推薦を経て出品されているだけあって、どの作品も良く出来ていたと思います。
学生達はさすがにまだまっさらで、指導教授のカラーがやはり作品に出るようで、発想力を伸ばす指導、プレゼンテーション技法といった具合に大学ごとに方向性が分類できますね。
競技設計などでしたら一定の条件がありますので、チェックポイントが統一でき、点数化も簡単ですが、今回の場合は卒業設計ということで各大学でテーマが変わりますので、これを一定の基準で審査するというのは大変難しい作業でした。
結局、金賞を受賞し、みごと全国大会への切符を手にしたのは長岡造形大学のバングラディシュからの留学生タンヴィル君。
立ち向かったテーマの重さ、時代背景、玄人なみのプレゼンボードと、あまりに均整の取れたプロっぽさが学生の作品としてどうなのかという意見もありましたが、やはりその作品に込める彼の物静かだけどしっかりと理論武装された説得力ある説明に審査員も背中を押された感じでしょうか。
新潟県代表ということですが、日本建築家協会の学生卒業設計コンクールに留学生が出場するというのは初めてということです。
国技「相撲」の千秋楽も日本人力士は蚊帳の外ですが、建築の分野もいよいよそういう世界になってきているのかなぁ。
もちろん実際の業務ではもはやグローバル化はなされていて、海外の建築家が日本で仕事をするのは当たり前の状況ですが、これから日本の建築を担う学生までもというのは少しだけ残念な気持ちです。
だからといって日本の学生の作品が劣っているということはまったくありませんでした。
作品の優劣というよりは設計者本人のオーラで負けたという感じ。
発想力で言えば、日本の学生の作品に時代の潮流を感じることが出来ましたが、どうも押しが弱いんです。
こちらから質問を投げかけると、それに自信を持って回答できない弱さが気になります。
着眼点も発想も面白いのですが、それをしっかり自分の中で咀嚼していないというか、つめが甘いという印象を受けてしまいます。
 
今回初めて審査員をさせていただきましたが、疲れたけど面白いですね。
自分にとっても本当に勉強になりました。
何のしがらみもない自由な設計が出来るのは多分学生のときだけです。
でもそれって卒業してからやっと判るんですよね。
学生には学生らしい自由な作品を来年も期待しています。
 
 
カテゴリー: 建築 パーマリンク

コメントを残す