DESIGN2050 The XXIV World Congress of Architecture Tokyo 2011

UIA 2011 東京大会へ行ってきました。
9月25日から東京国際フォーラムをメイン会場とし、都内各地で建築イベントが開催されました。
私は26日から28日まで参加し、3日間、ほぼ講演会・シンポジウム・公開コンペ漬け。
毎日行われた記念講演は世界中の著名人が来日し、豪華そのもの。
登録料4万円は痛かったけど、これらのレクチャーをまとめて受けれたことを考えるとやはり価値はあったと思います。
建築会議なので基本的に講師は建築家が多く、ドイツの建築家、クリストフのデザイン哲学など、とても啓発される講演が多かったのですが、実はもっとも私が素晴らしいと感じた講演はブータン王国首相 ジグメ・ティンレー氏でした。

ブータン王国はインドと中国に挟まれた僅か4万平方キロメートルしか国土を持たない国(ちなみに九州の方が大きい)で、人口も70万弱。
周りを急速に近代化(欧米化)を進める新興国に囲まれ、国民が行く先を見失おうとしたときに前国王が提唱したのがGNH(国民総幸福量)という指数でした。
その強い提唱者であるジグメ氏は2008年に圧勝し、国の舵取りをする立場になったわけですが、GNH指数は世界中を驚かせ注目を集めることになりました。
GNP(国民総生産)でも中国に抜かれ3位になってしまった日本のGNHはなんと90位と後進国。
GNH8位(1位はデンマーク)のブータン首相が演題にしたのは
「サスティナブルな幸福な社会のための建築」でした。

世界建築会議において氏は世界の建築家に多くの質問を投げかけます。
「あなた方の建築は人々を幸せに出来ますか?」

かつてイデオロギーの一端を担っていた建築もいまや経済至上主義の歯車に組み込まれているのではないか?
今回の日本の大きな震災や原発事故を受けて、今こそ価値観を組みなおす必要があるのでは無いだろうか。
今日本で行われている「持続可能な社会造り」ってイマイチ新しい商売ネタを探す経済活動にしか見えない。
併催されていた「建築のおけるタイ王国陛下の足るを知る理念展」も見学してきましたが、経済を精神が制御するアジア(中国、インドを除く)的精神が世界を救う?

今回のテーマ「DESIGN2050」をもっとも的確に語ってくれた講演だったと思います。

氏の話が終わった後、会場全体が起立して、惜しみない拍手を送り続けたのも感動的で、会場に居た世界中の建築家が心一つにした瞬間だったと思います。

こうした規模の大きな世界大会に参加してみてつくづく感じるのは自分の語学力の無さ。

欧米は当たり前でアフリカ、インド、中国の人々も全て英語を媒体として繋がっている。
もう完全に日本人はグローバリズムから乗り遅れていると感じずにはいられない。
少なくとも今の小中学生が大人になるくらいの近い将来、英語で普通に意思表示できないとまともな仕事にもつけないようになるかもしれませんね。

本当に日本人は今こそ価値観を変える時期に来ていると思います。

閉会式では今回の大会の東京宣言が行われ採択されています。

UIA2011 東京大会宣言
災害を乗り越えて

第 24 回 UIA 世界建築大会は 2011 年 9 月 26 日から 28 日まで東京で開催されました。折しも
2011 年 3 月に東日本で起こった歴史的な大災害から 6 か月半目にあたります。そこに世界中の
100 を超える国や地域から、約 5 千名に上る建築・都市分野の専門家と学生諸君が集まり ました。
そしてこの悲惨な出来事に深く影響を受け、

大会参加者は実際に何が起きたのか、 そして今何を
しなければならないのかについて、以下の大会テーマの下、熱い議論を交わしました。Design 2050
Beyond Disasters, Through Solidarity, Towards Sustainabilityその主な論点は、こうした状況を踏まえて 40 年後の建築・都市デザインのビジョンを予測・
逆予測することでした。それらは、これまでの UIA の憲章や宣言文からさらに前進し、我々
の職能の役割を啓発するもので、「環境」「文化」「生命」の三つのテーマに分類されました。以上を受け、私たちは次の事柄に取り組みます:

(1) 地球上のあらゆる災害を乗り越える動きから学びながら、環境、社会、経済的側面から
なる持続可能性の多様な関連領域と深く係る私たちの職能を全うします。
(2) 現存する地域や文化の境界を越え、過去の記憶を呼び起こし、そこに学びながら、さら
なる公正さと多様性を目指す世界と地域における数多くの取り組みについて連帯し、現代の
メディアを駆使しながら互いに交流します。
(3) 我々の職能が持つべき責任について認識を深め、建築家と建築を支援し、行政機関等と
共同して社会的不公正のギャップを無くし、すべての人々が地域に根差した生活の質の向上
を図ることができるような、持続可能な未来をめざします。

UIA2011 東京大会参加者 2011 年 9 月 28 日

 

 

そして次回2014年の開催地 南アフリカ共和国のダーバンに引き継がれました。

この歴史の1ページに参加できたことの喜びをひしひしと感じますね。

さて、大会も無事終わり、高校時代の友人と新橋で待ち合わせ。
以前から気になっていたお店に行ってきました。
有薫酒蔵(ゆうくんさかぐら)というお店。
日本各地の高校の寄せ書きノートがあることで有名です。
ここにわが母校はあるかと期待して行きましたが、残念ながら無し。
じゃぁ作ろうと申し出た所、どうも一見さんでは作らせてくれない様子です。
これは次回、学校の資料を持ち込んで、作ろうと盛り上がりました。
こちらも記念すべき1ページを我々の手で!という感じですかね。

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