役割も時間と共に変わるのでしょう

介護保険が始まった2,000年に私は建築系福祉ボランティアを立ち上げました。
ようやく住環境が私たちの自立に不可欠な要素であると認識され、住宅改修費が支給されるようになりましたが、実際の所 建築関係者に福祉の知識は乏しく、また福祉の人にとって建築のハードルは高かった時代です。
共通言語もほとんど無いような世界を結び付けるべくボランティア組織を立ち上げたわけです。
住宅改修はケアマネージャーがつくるケアプランの一つの重要な項目ですが、ニーズを見つけてもどうしてそれを改修してよいのかが判らない。そこで建築の専門家がケアマネージャーの考えを汲み取り、改修方法を提案する。
あくまでもケアマネ支援としてのボランティア活動をしてきたわけです。

私自身は昨年、ボランティア組織を卒業し、要請があれば私の事務所として活動は続けてきました。
私が現在お手伝いしている物件はほとんど友人といえるようなごく少数のケアマネージャー達に限定されていて、どちらかというと一緒に提案を考える作業です。
一緒に利用者のお宅を訪問しますが、住宅改修費を請求する為の理由書の作成はケアマネージャーの仕事。
それに添付しなければならない図面や見積もり、業者仲介などは私が受け持つといった具合です。

さて最近久しぶりに新しいケアマネージャーさんとお仕事をすることになりました。
基本的にケアマネージャー支援ですから、大抵はケアマネージャーさんから依頼が入りますが、今回の場合は私のことを聞きつけた利用者さんからの依頼。
どんな場合でも一旦はケアマネージャーに戻し、さぁどうしましょうか、一緒に考えましょうということになります。
彼女は私が過去に行った講習会も受講されていたとのことでした。
ようやく方向性も決まり、理由書を作成する材料も整えて彼女の元に行ったところ、
「理由書はそちらでやるんじゃないですか?」とのこと。
私の仕事のやり方をお話しても、
「そんな業者見たこと無い!私は忙しいんです。そんな時間はありません。」

最近は福祉用具を扱っている業者さんが住宅改修に関してもすべて上げ膳据え膳で整えてくれるのだそうです。
講習会を聞かれているということだったので、安心していたら大変なことになりました。
とりあえずは文句を言われつつも彼女に理由書を作成していただくことに。
彼女にとってはとんでもない「業者」ということになりました。

私の周りのケアマネージャーたちは「すべてこちらでプランから手続きまでやりますから」なんて言おうものなら、「私の仕事を取るんじゃない!」と激怒するような人たちばかりですが、実際の所、そうした介護職人のような人たちは少数派なのかもしれません。
多くのケアマネージャーたちは膨大な提出書類に埋もれて医療事務のようになり、すこしでも仕事をアウトソーシングしたいと願っている。
それはそれで現在は福祉用具・住宅改修の専門業者も育っているわけですから、需要と供給は成り立っているのでしょう。

私たちがボランティアを始めたばかりのときはそうした受け皿が無く、私たちも十分必要とされていた訳ですが、そろそろそういう過渡期は過ぎて、福祉住環境整備も専門業種が受け持ってくれているのだと思います。

そろそろオープンにボランティア活動するのは止めようかな。
もちろん必要としてくれているケアマネージャーさん達との付き合いはこれからも続けていきたいと思いますが、一見さんの受け入れは止めよう。
弊社HPの住宅改修無料相談のページも少し手直しが必要なようです。

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