小中一貫 我が家の選択

三条市では小中一貫教育の平成25年度実施に向けての動きが進んでいます。
先日行われた市長選においても争点となりましたが、現市長の再選により事実上承認された形になりました。
夏樹は来年小学一年生となり、小学校中盤で教育が再編される事になります。
また、教育指導要領の見直しで学習量の大幅アップとなり、我が家と同じような親御さんは大いに不安を抱えている事と思われます。

ところが、この小中一貫教育についての説明があまりに少ない。
先日行われた就学前検診の際に行われた保護者説明会でも、市長選を控えているので質問は受付ず、簡単な紙一枚をそのまま棒読みされておしまいです。
小中一貫反対派の擁立した候補があまりに悪すぎて、結局は争点にした割には、あの対立候補に任せるぐらいなら、現市長という選択で、結局なし崩し的に小中一貫を承認する形になるというレベルの低さではなかったでしょうか?

三条市から配布されたたった1枚の紙切れから読み取ると、中1ギャップを柔軟に解消するためには小学校と中学校の一体化もしくは交流が必要である。
児童数が減少している中、現状の小学校区での施設維持が厳しく、それを統廃合することで適正規模に持って行きたい。の2点に集約されているようです。
しかし、小中一貫教育と唱いながら小学生、中学生には現行の学習指導要領の範囲と言っており、これでは単に小学生と中学生が一つの校舎で過ごすにすぎません。授業形態が小学校高学年から教科担任制になり、中学校の授業形態に近づくだけ。まぁ、小学校のうちに中学校の予行演習をやっておきましょうということか?

私は決して反対派ではありません。
しかしながら、もう少し議論の必要はあるはず。
イエスかノーか、派閥がどうなどというレベルをわが子の教育に持ち込みたくはありませんから。

で、結局自分で調べるしかない。
インターネットで調べたら一冊の本に出会いました。

科学をつくりあげる学びのデザイン

新潟大学教育人間科学部附属長岡校園の本です。

この本を読んだら、いままで頭の中でモヤモヤしていたものがスッキリ晴れた気がしました。

そもそも中1ギャップって何?というところをもっとしっかり押さえる必要があります。

現行の教育制度では教育指導要領によって幼稚園、小学校、中学校における指導範囲が限定されてしまいます。教師はその範囲を逸脱して教えることは出来ません。
ところが世の中の事象はそんな教育指導要領には関係なくあるわけ。
本の冒頭でこんな説明がされています。

小学校4年生の理科「空気と水」の授業では「閉じ込めた空気を圧すと、かさは小さくなるが、圧し返す力は大きくなる」「閉じ込めた空気は圧し縮められるが、水は圧し縮められない」を教えますが、それでは「はじめからパンパンに空気の入ったボールはほとんど圧す事が出来ないのに、なぜあんなに弾むのですか?」という子供の問いに教師は答えることが出来ない。それには中学で学ぶ粒子概念が必要だからです。重要なのは子供たちの疑問を大事にして、それを自ら解決するという学びのデザインであり、指導要領に囚われずきちんと導いてやること。

小学校でうやむやに理解したと誤解し、結局は記憶に頼る。その中途半端な理解が中学で露呈し、ついていけなくなるというのが中1ギャップではないでしょうか?
そもそも教育のあり方についてきちんと言及しなければ小中一貫教育とは言えません。
先日の時計の話もきっとこれと一緒です。
「科学をつくりあげる 学びのデザイン」
正直、こんな授業なら私が受けたいと思いました。

この本を手にしたのは一ヶ月ちょっと前のこと。
試しに三条市立図書館の蔵書検索をしたらありませんでした。
こんなに身近に実践している処があるというのに!
きっと小中一貫教育推進室でも読んでないんだろうな?
この事実をもってわが子の進路の方向性が決まります。

私の人生50年の間でも三条市は県内のどこの市町村よりも先進的な試みを行いますが、ことごとく失敗しています。
下水処理施設は県内トップくらいだったのに、今では普及率最下位。
高度利用地区としてパルムの開発に着手しましたが、現在解体しているのは皆さんご存知の通り。
この小中一貫教育も今までの実績をみると不安だらけです。
反対派が唱えるように、老朽化した校舎を耐震補強するより統廃合して新しいのを作ったほうが工事費も維持コストも安いから、その為の理由付けとしての小中一貫もあながち外れていないかも。
どう考えてもソフト面が弱いですね。
もちろん、一地方都市の教育委員会では改革に限界もあるのかもしれません。
だからこそ、人口の多い都市部では私立が理想の教育を目指し、意識の高い親はこぞって子息を私立に入れるという現象が起きるのでしょう。
だったら、指定研究校である附属小学校が現状ではベスト。

ホームページを見ると数日後には来春入学希望者の募集が始まります。
これまでなーんにもお受験の勉強なんてしたことの無い夏樹が試験受けても受からないのではないだろうかという当たり前の不安もありましたが、落ちたところで予定通り地元の小学校に通うだけのことですから、とにかくチャレンジすることに。
試験日は先週の土曜日で妻の誕生日の前日です。
金曜日の夜は保育園の保育士さんとの懇親会もあり、「明日は親の面接もあるのだから飲みすぎないでね!」とキツイ一言で送り出されて、後ろ指をさされながらも1次会で帰宅。妻の誕生日恒例の海外脱出も断念して臨みました。

当日「どうだった?」と聞く親に「簡単かんたん!でも半分くらい書けなかった。」と要領の得ない回答で一体どうなることやら。

昨日はいよいよ合格発表でしたが、フタをあけてみればほとんど全員が入学適格者です。ただ受入定員が決まっているので、適格者多数の場合は抽選による決定とのこと。

適性考査で5名が落とされ、適格者になっても10名が入学できない。
親としては適格者なんだから全員入れて欲しいというところですが、そうはいかないのですね。

結果としては抽選にも何とか残り、合格者となりました。

話を聞くと年少さんくらいからもう受験勉強を始めている人も居るらしいですが、実際のところ東京の有名私立の入試とは違い、ほんと簡単な適性検査をするだけみたいですね。
うちは過去問を一冊(結構高くて4千円位する!)を直前にやったきり。

小学校はすぐ目の前にあるのに、わざわざ長岡まで電車で通わせるなんてというご意見、ご批判は頂きそうですが、いろいろ熟慮したうえでの選択なんです。
一度この本を読んでいただくと、きっとわが子を入れたくなります。
願わくは三条市立図書館にも蔵書として置いて欲しいし、この辺の議論もしっかりやって頂きたいと思います。



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