2010年一級建築士設計製図にみる国語力

今年も無事一級建築士設計製図試験が終わり、昨日のカウンセリングを持って私のカリキュラムは終了しました。
今年の課題については特にサプライズ的な設定も無く安定したものだったと思います。
新制度初年の昨年みたいな自由度は少なくなり、所要室の面積設定がされていた分大変な人も居たかもしれませんが、セオリー通りにエスキスを進めればあっというまにプランが完成する内容です。
今回は敷地面積が狭い分、グリッド設定を大きくするとコマ数が足りなくなります。
そこに気がつけばまずエスキスで詰まることは無かったでしょう。
(多くはそこに気がつかずエスキスで行き詰った訳ですが)

さて、近年痛切に感じる事は受験者の国語力の低下です。
これは建築士試験だけに言えるのではないのかもしれませんが、とにかく読解力が無い。
私がいつも受講者に言うのですが、課題文に答えは書いてある、きちんと読みきればその段階でエスキスはおのずと出来上がるものです。
今回もしかり、丁寧に所要室の部門分けや設定階、エントランスとのつながりまで設問の中に書いてあるというのに、見事にそれを外してしまうのは何故?

いかに現代人が日ごろ文章に向き合っていないかという現実が見えてくるようです。
TVのように一方的でビジュアル的に瞬間で入ってくる情報に慣れてしまうと、ひとつの言葉が持つ意味を推敲するという事をしなくなってしまいます。

テクニカルな知識だけでなく、きちんと文章を読み取るという国語力をしっかり身に着けることが重要だと痛感いたしますね。
その辺もきちんと指導しているつもりですが、そんな情報も一過性のものとして彼らの思考回路を通過してしまうのかなぁ。

最近はiPadやKindleのような電子書物がトレンドですが、あれもどうなんだろ?
どうしたって人間の頭はアナログです。
若いうちは紙媒体で思考させた方が良いのではないかと思います。
学校へ持っていく教科書が重いから電子化しようという話も聞きますが、私は絶対反対。
電子化はある程度国語力を完成させた人には合理的ですが、発展途上の人には危険です。

せめて来年受験される皆さんは今のうちに紙媒体に親しんでおいて下さい。
授業の中で国語力を向上させるカリキュラムはありませんので。

ちなみに私の作成したエスキス例を掲載しておきます。
もちろん100点はありえませんので、突っ込みを入れないように。
最初7x7グリッドで進めましたが、コマ数が足りず6x6グリッドに変更。
要求面積の下限値で進め、まとまったのが1時間後ですかね。
もちろん、いつも皆さんにお伝えしてきた思考ロジックの通りです。

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2010年一級建築士設計製図にみる国語力 への1件のフィードバック

  1. s-kimura のコメント:

    初めてコメントさせて頂きます。何を書いていいのか・・・
    2ヶ月間でしたが大変勉強になりました。1年前から学科からやり直ししておりましたが、学科さえ通ればと甘い考えで1年がんばってきました。学科の時から感じておりましたが、自分にはやはり国語力、読解力が全然足りないことは常々感じておりました。昨日の製図の試験で本当に痛感しました・・・
    10月31日の「新・森の生活」セミナー楽しみにしております。
    おじゃましますので宜しくお願いします。

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