福祉用具・住宅改修広域支援事業

新潟県が行っているケアマネ向け支援事業の一つである「福祉用具・住宅改修広域支援事業」
大きな柱が二つあり、ひとつはケアマネに対し、福祉用具・住宅改修の知識を身につけてもらう講習会。
もうひとつはケアマネに対しての広域無料相談業務です。
この二つはばらばらにあるのではなく、うまく結びついている事が重要だと思います。
福祉用具や住宅改修は生活域の拡大にとても効果的な手段ですが、その専門性からケアマネに敬遠されがちな分野です。
最近では福祉用具のレンタル事業者に丸投げで、まったく関与しないケアマネも増えてきました。
しかし、本来はケアマネが作成するケアプランの一部として実行されるべきもの。
ケアマネのイメージの外に存在していてはいけないはずです。
 
「トイレが使えない」と言われても使えない原因はトイレ自体にある場合はごくわずかです。
しかし、現実的にはトイレ単体の工事のみ行われ、利用者本人の寝室や居間からの動線の検証がまったくなされていない。
これはケアマネが業者に「トイレを直してほしいと言う要望が家族から出ている」とだけ伝わるから。
本来はアセスメントの段階できちんと検証が出来ていないといけません。
きちんとしたデータ取りが出来ていればこそ、本人や家族からのデマンズ(要望)を受けて、それに対してのニーズの抽出が行われる。
ところがその過程をすっ飛ばすとデマンズだけが業者に伝達されておしまいとなるのです。
 
「本当に直さなければいけないのはトイレだったのか」という疑問を持ってもらう。
これがケアマネに対して行われる研修の要旨になるのだと思います。
 
もっと応用的な内容を聞きたいという不満は毎回の研修会でのアンケートでも出されますが、応用ってなんなんだろう?
例えばALS(筋萎縮性側索硬化症)の人に対しての住宅改修を聞きたいということでしょうか?
ALSという病気に関しては学術的に説明が出来るのだと思います。
注意すべき点も一般論的には説明できるでしょう?
では福祉用具の選定や住宅改修のもっとも効果的な手段は?
それを言える人っているのかな?
ALSという難病を抱えている人の状況や環境因子は様々です。
それに対する援助の仕方は100人居たら100通りあるはず。
その一人ひとりにたいしての的確なニーズの見つけ方というのが重要なんじゃないのだろうか?
 
だから私としては基礎的な講習に重きを置きたいと考えるのです。
難病に関する知識は多分一般論的な範疇で、この事業の他でもいっぱいやっていると思いますしね。
さまざまな病気の特徴が基礎知識としてあり、本人や家族、環境の分析がきちんと行われれば福祉用具の選定や住宅改修は適切に行われるのだと思います。
 
そうは言っても、やはり専門知識。
そこをサポートするのが県内各地に登録してもらっている相談員たち。
今年からは県内数箇所で行われた研修会にも近隣の人たちに顔を出してもらい、ケアマネの実習をサポートしてもらっています。
登録相談員たちも各分野の専門家ではありますが、調整力がある人ばかりではないので、来年からは相談員に向けての調整力アップのための研修も予定したいところです。
 
こうしてケアマネにはアセスメントにおける住環境の検証の必要性を理解していただき、それを相談員がお手伝いする。
これが私の支援事業に関するイメージなのですが、協議会に参加いただいている皆さんはどうお考えなのでしょうか?
来年への方向性もこの月末の会議で決められますが、なかなか難航しています。
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