窓つながりで

窓と簡単に言うが、これはこれで奥が深い。
窓を英語でいうとWindow。
欧米の壁式工法の建築では家に風を入れたり太陽光を入れるのが大変だ。
だって壁で建物を支えているのだから、むやみやたらに開口部を持つことが出来ない。
そこで構造に影響ない程度の穴を開け、そこから風を取り込んだからWindowという。
一方、日本のように軸組み構造の建築の場合はどうだろう?
柱の間に戸を立てることで外部と内部を仕切っている。
基本的には柱と屋根だけあれば建築としては成り立つわけで、あとは自由に壁にしたり、窓にしたり出入り口にしていた訳だ。
だから「まど」を古くは「間戸」と書いていた。
この自由な間戸(窓)が欧米人の度肝を抜くことになる。
コルビジェやフランクロイド・ライトの建築の根底には日本の間戸があるといっても過言ではない。
 
ところが最近の住宅はどうだろう?
軸組み構造にも関わらずWindowばかり。
せっかくの日本の知恵が生かされていない。
また、Windowとして考える設計者の窓は所詮壁にあいた「穴」でしかない。
本当なら様々な機能を持っているのに利用しないなんて惜しいことだ。
先日の重力換気では窓を換気から考えた。
他にも外の風景を眺めるピクチャーウィンドゥとしての機能。
太陽光を取り込むための機能。
出入りのための機能。
そうしたさまざまな機能をひとつひとつの窓に要求しないで、ただ平面図の中で外壁面の部屋から見た中央に配置するだけの窓。まったく残念だ。
 
我が家の窓には格子の桟がオプションで付いている。
これもしっかり意味がある。
住宅地の真ん中の家だから、外の風景はあまり期待したものではない。
でも、そんな風景も格子をいれることで、ひとつのガラスが小さな幾つかの額縁になる。
そういう小さな四角の額縁から眺める外の風景は想像力をかきたてる。
大雑把なガラス面ではなく、小さな額縁の寄せ集めなのだ。
クリスマスシーズンになるとそうした小さな額縁にヨーロッパで買ってきた窓飾りを飾り付ける。
そして窓はギャラリーとなる訳だ。
本当は昔の板ガラスみたいにゆがんでいるともっと素敵なんだろうけどね。
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