わからない

昨日、新潟ユニゾンプラザで新潟県福祉用具・住宅改修専門相談員登録者研修が行われた。
住宅改修・福祉用具に関する福祉関係者支援事業である。
福祉用具、建築関連の専門家が登録しており、要請があると出張相談などを行う。
登録されている相談員は各自の資質を高めるために年1回以上の研修が行われ、それが昨日だった。
午前中は新潟県作業療法士会の横田さんが車椅子のシートフィッティングを講義した。
対象者一人ひとりの状況で適切なフィッティングが必要で、快適に長時間座れることはその人の生活意欲や労働力拡大に大きな影響を及ぼすのだ。
いろいろな車椅子を持ち寄り体験したのだが、一人の受講者が「ではどの車椅子が一番良いのですか?」と質問した。
横田さんは「それはわかりません。」と答えたのだが、このやりとりは非常に典型的で重要だ。
受講者は車椅子そのものがわからないから「いったいどれが一番なのか教えてくれ」と答えを求めている。
しかし、ひとそれぞれだし、車椅子も一長一短あるので直接対象者に会うなり情報をもう少しもらえないと判断できないと答える。
受講者の「わからない」はそもそも理解していないところの「解らない」であり、横田氏のそれは十分知識を持っている上で情報が足りないので判断しかねる「判らない」なのだ。
一般的に支援事業に寄せられる質問の多くは「解らない」であり、私たちはその最初の情報だけでは「判らない」ので直接面談したりする。
相談員にとって必要な資質は多くの経験に裏づけされた知識による判断だ。
だから知ったかぶりしたり知識をひけらかすではなく、「判らない」情報を収集し適切な助言を行うことが重要だ。
 
午後からは住宅改修プランのグループワークを行ったが様々なプランが発表された。
各登録相談員のキャリアによる提案だと思うが、それらはあくまで自分の意見の押し付けであって、助言には至らない。
経験が少ない人ほど「わからない」というのは恐怖だ。
相談員が「解らない」では困ったものだが「判らない」と素直に言えるキャリアが必要だ。
無理に答えを作り上げなくても良いのだから。
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