スケルトン&インフィル

最近の住宅設計者の問題点は間取り優先で思考するところだ。
住宅建築は小規模なため、精々4寸角程度の細い柱で梁や床、屋根などを支えなければならない。
それでもモジュールをしっかり考えて配置すれば良いのだが、適当に間取りを考え、その角々に柱を配置する。
結果として不規則に柱は配置され、1階と2階の間取りも平気ででたらめに配置するものだから無駄な梁を無理にかけなければならなくなる。
無理にかけるから経済寸法では収まらない太い材を要するが、それを自慢げに施主に語る施工者もいるから始末に終えない。
間取り優先で配置された柱はその複雑な構造からリフォームしにくくなる。
1代限りという発想ならそれでも良いが、1代限りということは完全なる消費財であって資産にはなりえない。
何代にも受け継ぐ、もしくは住み手が変わることが可能になって初めて住まいは長命化し町並みを構成することができるのだ。
欧米の住宅が古い町並みを残し、現代も成り立っているのはスケルトン&インフィルのおかげだ。
もちろん構造上の違いもあるのだが、外観は手を加えず、内装は住み手により自由に変更する。
構造と内装を別に考える発想だ。
だからこそインテリアコーディネーターという職種もきちんと成り立つ。
日本はどうかというと構造と内装を一緒に考えるから設計者さえ居ればインテリアコーディネーターは必要ないもしくは設計者がコーディネーターを兼ねれば良いということになる。
カタカナ職業にあこがれインテリアコーディネーターを目指した人たちの多くは結局建築士を再度目指すか、モデルハウスの接客係もしくは営業補佐にしかなれない。
構造を魅せるというのは軸組み工法の醍醐味でもあるから否定はしない。
しかし、その構造を間取りを考えたらこうなってしまいまいましたみたいな後付では弱い。
ちゃんと後世に残せる外観をデザインし、均整の取れた構造計画をたてる。
間取りはその後についてくるぐらいの発想にしないとビルト&スクラップの構造からは容易に抜け出すことは出来ないだろう。
私の事務所ではキューブと名づけた構造設計とゼロポイントという設計指針をつくり、スケルトン&インフィルの設計を提唱している。
住まいの長命化を私なりに考えた答えだ。
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