トリアージ

昨日、新潟で建築士試験対策の夜間講義を終えて家に戻ってきたらNHKでJR福知山線脱線事故の特集をやっていた。
あの悲惨な事故から2年がたった。
いまだに遺族や被害者の記憶から消えることの無い大きな傷跡だ。
特集番組ではその現場で救命活動を行った医療関係者たちをクローズアップしていた。
600人近い被害者に対し、医療スタッフはわずか10数名 到底一人に付き添うことなど出来ない。
大規模な災害の際、医療スタッフは被害者の救命順位を決まるのだそうだ。それがトリアージである。
判定分類はカテゴリー0からカテゴリーⅢまでの4種類。
おのおののカテゴリーには色が割り当てられ、救急車はその色で搬送順位を決める。
一番緊急を要するのがカテゴリーⅠ(レッドタグ)の重症患者だ。
カテゴリーⅡ(イエロータグ)の人は現場に2時間以上放置されたそうだ。
そうした判定を行う医師の一番辛いのがカテゴリー0(ブラックタグ)を指示することだ。
「死亡、もしくは現状では救命不可能とされるもの」として命の切捨てを行わなければならない。
いかに多くの助かる命を救うかという正義のために命の判断を下す。
感情を入れてはとても出来ない。とにかく客観的に判断を下さなければならない。
ここに立ち会った医療スタッフも事故以降、精神的に不安定になった人も居るらしい。
私たち建築士も災害の直後に被災した建物の応急度判定を行う。
応急度判定も「調査済み(緑)」「要注意(黄)」「危険(赤)」のステッカーを貼っていく。
分類法は一緒だが、その重さが違う。
自然災害であれ戦争であれ、大量の被災者を助けるためには厳しい判断も迫られる。
そうした当事者にいつ自分がなるのかわからないというのは恐ろしい。
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